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【主張】生物多様性 温暖化と表裏一体の課題
地球上には約3000万種もの生物が存在する。40億年という長い時の流れの中で、さまざまな生物が滅びては生まれるという営みを繰り返してきた結果の蓄積である。
だが、現代は、地球史上で屈指の大量絶滅時代となっている。地球温暖化と同じく、人間の過剰な活動に起因する現象だ。
生物種が急速に減り続ければ、生態系は単純化に向かい、不安定になって、やがては人類の存在も脅かされるようになる。地球の生命圏の持続には生物の多様性が不可欠なのだ。
国際条約に基づいて策定され、ほぼ5年ごとに見直しが行われる新しい「生物多様性国家戦略」が決まった。中央環境審議会などでの討議で練られた第3次戦略である。国民の意識を生物多様性の大切さに向け、効果を加速するための意欲的なプランが組み込まれていることを評価したい。
施策の一部について、今後の行動計画に数値目標を加えたことも注目点のひとつである。
新潟県佐渡島のトキは、平成27年ごろに60羽の野生復帰を目指す。鹿児島県奄美大島でアマミノクロウサギを脅かす外来移入種のジャワマングースは、26年までに完全排除の計画だ。沿岸の海では、24年までに5000ヘクタールにおよぶ藻場や干潟の保全と再生に力を入れること、などとなっている。
全国2万3000校の小学生を農山漁村に1週間程度、宿泊滞在させて自然体験を深めるプロジェクトも打ち出された。今後5年で受け入れ態勢の整備を進めるという。人手による管理が必要な里山や里海の保全にも役立つ試みだ。大いに期待したい。
今回の第3次戦略は、地球温暖化が世界や日本列島の生物多様性におよぼす影響についても触れている。昆虫や魚類の生息域の変化はすでに表れ始めている。国の対応は後手に回りつつある感がある。継続的な調査を可能にする観測強化が急がれる。
地球の温暖化防止と生物の多様性保全は、かなりの部分で表裏一体の関係にある。地球環境をこの両面から見つめる視点が必要だ。
豊かな自然は、人の心と文化をはぐくむ力を持っている。生物多様性を21世紀のキーワードのひとつとして定着させたい。