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【主張】IPCC報告 温暖化防止へ時間はない

2007.11.21 03:31
このニュースのトピックス主張

 熱帯低気圧の大型サイクロンがバングラデシュの沿岸部を襲い、多数の死者を出し、住居を破壊した。すさまじい破壊力である。

 同じころ、スペインのバレンシアでは「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の総会が開かれ、最新の科学知見に基づく「統合報告書」をまとめた。

 気象学の研究では、温暖化の進行によって、熱帯低気圧が大型化する傾向が知られている。バングラデシュの被害も気候変動のもたらした結果と考えるのが妥当であろう。

 IPCCの統合報告書は、今年2月以降、6年ぶりに開かれた3つの作業部会の成果を横断的に取りまとめたものである。

 第4次となった今年の報告の最大の成果は、地球温暖化の原因を人類の産業活動によるものと明確に認定したことにあるだろう。地球の平均気温が2〜3度上昇するだけで、世界的に悪影響が広がるということも予測した。

 IPCCは日本を含め、世界の科学者や専門家が集まった国連の組織である。この科学者集団の発したメッセージが世界の政治家の意識を変え始めた。今年のノーベル平和賞も、地球環境の回復に向けて、科学が政治と経済を動かした功績に贈られる。

 来年からは京都議定書に基づいて、5年間にわたる温室効果ガスの排出削減が始まるが、世界の動きはすでに2013年以降の「ポスト京都」の枠組み作りに向かっている。

 12月には、インドネシアのバリ島で国連の「気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)」が開催される。ここでの主題は、米国や中国など、京都議定書の削減義務の外にいる大量排出国に対する参加の説得である。

 これらの国々が排出削減を行わない限り、地球温暖化は止まらない。

 洪水や干魃(かんばつ)、砂漠化、食糧不足といった温暖化による気候変動の犠牲になるのは、バングラデシュのような貧しい途上国が先である。

 IPCCの報告は、世界がこのまま手をこまねいていれば、温暖化はあと20〜30年で、後戻りのきかない状態にまで進む可能性を示唆している。日本も今夏、74年ぶりに最高気温を更新した。危機意識を持って、統合報告書に接する姿勢が必要だ。

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