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【産経抄】10月9日
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南太平洋に浮かぶツバルといえば、地球温暖化の影響を真っ先に受けている島国だ。もともと広い土地の少ない島で、子供たちの「メーングラウンド」になっているのが、首都フナフティにある空港の滑走路と、両側の草地だという。
▼6日付の日経新聞夕刊の記事によれば、定期便が来るのは週2回だけ。夕方になると、子供や若者が集まってきて、男の子はサッカー、女の子はおしゃべりに夢中になる。日本の子供たちの生活から、こんな原っぱが失われてからどれくらいたつのだろうか。
▼「紙がくばられた みんなシーンとなった テストせんそうのはじまりだ ミサイルのかわりにえんぴつを持ち てっぽうのかわりにけしごむを持つ」。「テスト戦争」と題した詩の一節。横浜市に住む小学5年生の男児が、高層団地から飛び降り自殺した後に、見つかったノートに記されていた。
▼東京弁護士会が、電話相談「子どもの人権一一〇番」を開設すると相談が殺到した。そのうち4割がいじめの問題だった。長者番付の上位100人中、土地長者が49人も含まれていたことも話題になる。昭和60(1985)年とはそんな年だった。
▼地価の高騰によって、このころには町中から空き地はほとんど消えていたはずだ。39年度の調査開始以来、ずっと上向きだった子供の体力、運動能力が、下向きに転じたのではないか、とささやかれるようになったのもこの年から。7日の文部科学省の発表によれば、まだ低下の傾向は続いている。
▼ツバルの子供たちの生活には、塾もゲーム機もない。ただ、ゆったりと流れる時間と友達と原っぱがあるだけ。行く手に国土の水没の危機が待ち受けているというのに、なんだかとてもうらやましい。