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【早稲田の英語】(9)馬 多様な呼称、人との近さ証明
早稲田のキャンパスにはいくつかお気に入りの建物がある。中でも気に入っているのが大隈講堂の斜め前にたたずむ三角屋根の白い小屋である。大隈講堂の威容に目を奪われている間に通り過ぎてしまいそうなこの建物、実は明治15年の開学当時からある学内最古の建物で、当時は大隈邸で馬の世話をする人の小屋として使われていた。馬が交通手段として活躍していた時代をしのばせる風情ある建物である。
この建物に限らず、早稲田の歴史をひもとくと馬に関する事柄の多さに驚く。そもそも早稲田の学生街、高田馬場という地名からして、大学裏手にあった江戸時代の馬場にちなんだ名前だ。また、大学に程近い穴八幡宮は昔から流鏑馬(やぶさめ)神事で知られたお宮さんで、近くの公園では今でも年1回、流鏑馬が催されて見物客を集めている。
馬と人間の近しい関係は英語圏の歴史においても同じこと。むしろ馬関連の英語表現の豊かさを考えると、日本以上に馬が人間に近い存在だったのかと想像したくなる。
例えばhigh horseという表現。英語で「高い馬に乗る」つまり、get on one’s high horseといえば、「偉そうな態度を取る」という意味だ。日本語だと、さしずめ「高飛車」とでも言うべきところだろうか。また、逆にhigh horseから降りてもらって、Come off your high horse!なんて言えば「威張るなよ!」という意味になる。
加えて、英語にはmare(雌馬)、stallion(種馬)、hack(老いぼれ馬)、colt(雄の子馬)、pony(小型の馬)というようにhorse以外にも馬の呼び名がたくさんあることも覚えておいてほしい。これだけ多様な呼称が生まれるほど、英語圏では馬と人が密接な関係を築いてきたということだろう。コメが何よりも大切な日本では、米、稲、ご飯、と状況に応じて使い分けるのに、英語では全部riceで済ませてしまうのと似ている。文化の豊かさが言葉を生み出していることを実感する。(早稲田大教育学部准教授 石原剛)
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【ポイント】
high horseには「高飛車」「傲慢(ごうまん)な態度」といった意味がある!
「ウマ」と一口に言っても特徴によって英語では違う呼び方があるので注意。mare(雌馬)、colt(雄の子馬)、pony(小型の馬)など

