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【産科医解体新書】(19)100%を求める人たち (1/2ページ)

2009.1.7 08:27

 治療に必要な説明をするとき、効果については「なるべく数字を用いて説明しろ」と言われます。患者さんにとって具体的で分かりやすく、治療を選択する目安にもなるためです。

 どんなに効果のある治療でも100%ということはありえません。可能性で言えば、どんなに些細(ささい)な治療でも命を落とすことがありえます。その数%の部分に執拗(しつよう)にこだわる方がいます。僕も何度かそういう患者さんに出会ったことがあります。最初は珍しい性格の人だと考えていましたが、実はそうでもないようです。病気によって一時的に著しく精神的に不安定になる方に多いような気もします。

 そういう方は、ほとんど起こらない確率にしがみついてしまって、なかなか治療に移行できません。下っ端の医者ならば、「もう埒(らち)があかない」と先輩医師に丸投げすることもできます。先輩医師から「また説明の難しい患者さんを送っただろう」と怒られればすむことですから。困るのは先輩が見当たらないときや、緊急時です。

 緊急時には数%に固執している間に命にまでかかわってきます。どこかで決めなければいけない。最終的な決断をするのは患者さん本人やその家族ですから、強制はできない。しかも、今では自然分娩(ぶんべん)よりも安全といわれている帝王切開でさえ死ぬことがあるのですから、僕らは「絶対に大丈夫」とは決して言うことができません。しかし、可能性としてはありえても、蓋(がい)然性としては悪いことが起こることは少ない。だからこそメリットがデメリットを上回り、治療をする妥当性があるわけです。

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