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エストニアの映像教育 アニメが育てる子供の心
■創造力や団結力に「抜群の効果」
バルト3国の一つ、エストニアの“子供たちへの映像教育”を知る講演会が開かれた。大阪市内で開催中の「第15回大阪ヨーロッパ映画祭」(5日まで)の一環として行われたもので、同国の子供アニメーション制作スタジオのスタッフが来日。アニメ制作という、時間のかかる物づくりを共にすることを通して、子供の心を育てる取り組みを紹介した。(服部素子)
≪疎外されがちな人と≫
エストニアは、1991年に旧ソ連から分離独立した共和国。バルト海に面し、フィンランドやスウェーデンなど北欧文化の影響が強い。同国には、50年以上の歴史をもつアニメスタジオが2つあり、子供への熱心な映像教育が行われているという。
来日したのはその一つ、人形を使ったパペットアニメーションで知られる「ヌクフィルミ・ラステストゥーディオ」のカトリン・クシークさんと、ソンドラ・ランプマンさん。
非営利団体である同スタジオでは、国や州の助成を受けながら9〜5月に首都、タリンのスタジオで、6〜20歳を対象に週1回90分の授業を行うホビースクールと、各地の学校に出向くワークショップ、さらに罪を犯した青少年に対するアニメ制作指導なども行っている。
「目標は、学校の子供たちだけでなく、家庭のない子供、障害を持つ子供、若年犯罪者ら、疎外されがちな人々と一緒にアニメを作ること。だって、アニメではあらゆることが実現可能ですもの」とクシークさん。
≪完成度よりプロセス≫
ホビースクールは定員30人で、参加費は月約5000円。年代別に3つのグループに分け、幼い子供のクラスでは興味が続くよう初回から、紙を切った人形を動かすだけの5秒ほどのアニメを制作。年齢の高い子供のクラスでは、台本作りからストーリー展開、立体的な人形作り、カメラでの撮影、パソコンを使っての編集、音入れなどを含め、1グループで期間中に30秒程度の作品2、3本を作るという。
「子供自身が最初から最後までやり遂げるのが一番の目的。スタッフの口出しを最小限にし、完成度よりプロセスを大事にしています」とランプマンさん。
若年犯罪者の更生プログラムは試行段階というが、警察関係者や心理の専門家らと「条件をつけず、作りたいテーマで作らせる」方針で進めているという。
クシークさんは「子供のクリエーティブな心を育てるには手を動かすことが大切。加えてアニメはチームワークも育てる」とその教育効果を説明する。
≪環境を考える場に≫
今回の講演後には、今年の夏休みに子供10人が、ベルギーにあるアニメスタジオの制作監督による指導で、約1週間かけて短編アニメの制作に挑んだドキュメンタリー「海と命〜浦島太郎物語」が上映された。
上映後の会場では、このアニメ制作に参加した子供から「絵をちょびっとずつ動かすのが大変やった」という感想が聞かれ、クシークさんとランプマンさんは「素晴らしい作品ね」と笑顔で子供に声をかけていた。
同映画祭の子供部門、キンダーフィルム特集担当プロデューサーの森尾一幸さんは「アニメ制作を通して、子供に環境について考える場を与え、自主性やチームワークを学んでほしいと取り組みましたが、期待以上の成果」と話し、内外で開かれるドキュメンタリーやアニメ、環境などをテーマにした映画祭にも出品していきたいと手応えを感じていた。



