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【解答乱麻】TOSS代表・向山洋一 会話練習だめ?小学校英語
やっとのことで小学校に英語が入ることになった。
世界の主な国々の中で、小学校に英語の授業がないのは日本ぐらいだ。
10年前、上海を訪れ、いくつかの小学校を見学したときの驚きは今もよみがえる。小学2年生から、オールイングリッシュで授業をしていた。IBMのパソコンをつかっていた。
バスから見えた「あの学校を見学したい」という突然の申し込みの結果も同じだった。
30人の日本の教師は青くなった。「教育で負ける」と思ったのだ。「算数の授業」は、日本より2学年分レベルが高かった。小学1年で3000の漢字の「読み」を習得させていた。
その当時、上海で、韓国、日本、中国の高校生が修学旅行で出会った。韓国、中国の高校生は英語で仲良くなっているのに日本の高校生は仲間に入れなかった。「読む、訳す」のこれまでの英語教育の前に「聞く、話す」の英語教育が必要だと痛感した。
私たちは、総合的学習の国際理解の時間を活用して、週に1時間ぐらいの「小学校英会話」の授業を開発してきた。何よりも楽しいこと、子供たちがのりのりになること、しかも日常的な場面で英会話ができることを目指してきた。
週に1時間、1年間で35時間ぐらいの授業で、子供たちは英会話をしゃべるようになった。学校公開もされた。子供たちは、本当に楽しそうだ。
ところが文科省の担当者は、このような英会話の授業をいけないのだという。「スキル学習は外国語活動ではありません」「ダイアローグの学習は外国語活動に入りません」という。
これは、自動車学校で「坂道発進などのスキルを練習してはいけません」、水泳の授業で「クロールの練習をしてはいけません」というようなものだ。
学習指導要領では「外国語を用いて積極的にコミュニケーションを図ることができるようにする」とある。そのため「外国語を用いてのコミュニケーションの楽しさを体験させる」「積極的に外国語を聞いたり話したりすること」などと示されている。
私たちは、この課題を実現しようとしてきた。それが駄目だという。「外国語を聞いたり話したりする」のに、「スキルの学習」や「ダイアローグの学習」をぬきに、どのようにしろというのだろう。
指導要領には「場面」の例も示されている。「自己紹介」「食事」「道案内」「買い物」「あいさつ」「子供の遊び」「行事」などである。これらを「聞く」「話す」ことができるには、その場面特有の会話「ダイアローグ」を練習させる必要がある。
「話す」ことができるには、「くり返しの練習」(スキル)が必要だ。絵、イラスト、写真を示しながらやると、子供たちは熱中して授業に参加をする。
楽しい授業が、全国で指導主事の先生などからつぶされている。この10年間努力してきたことは何だったのかと思っている教師は多い。

