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【正論】ノーベル賞の「揺り籠」づくり 京都大学名誉教授・加藤尚武 (1/3ページ)
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「ポスドク」があふれる
日本人の科学者の中からノーベル賞受賞者が4人も選ばれた。だが、「後が続くのか」という心配が浮かび上がってくる。
小学生から大学生まで「理科離れ」の現象が著しい。かつては花形だった理学部の物理学科だが、東大や京大でも将来性のある研究者が不足している。大学院の博士課程は、就職できない研究者のたまり場と化している。
「大科学者になる夢」を見て博士課程に進んでも、場合によっては、人生が泥沼にはまったような状態になる。
特に、理数系の大学院生の質の低下が顕著である。博士資格をとっても就職できない。就職できないので博士課程のまま在学する。そんな研究者は、和製英語で「オーバードクター」、あるいは英語の「ポストドクトリアル・コース」(学位取得後の研究課程)にあやかって「ポスドク」と呼ばれたりする。
だが、たいていのポスドクは40歳前後に消えていく。
「消えていく」というのは、郷里に帰って母校の事務職員になるとか、研究者としての職を捨てることを意味するが、大学とは連絡を絶ってしまう人が多い。
最近は、年間に1万6000人の博士が生まれ、就職する人が35%、「消えていく人」が9%といわれる。残りがポスドクとなる。彼らは予備校や塾でアルバイトをしたり、大学のなかで臨時の職につくというような生活をしている人が多い。
原因のひとつは、大学院の定員を増やすという文部科学省の計画が実行されたためである。
1991年の大学院重点化計画で大学院(博士・修士)定員を10万人から20万人にする計画が立てられた。現在の在籍者は26万人に達する。
定員を満たさないと、国から支給される予算が削減されるため、ポスドクがたまっていく道理だ。
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