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【「改革」あれこれ】JR東海会長・葛西敬之 教員免許制度の廃止を

2008.8.28 02:53
このニュースのトピックス大分教員採用汚職

 大分県の教員採用試験における不正事件が物語るものは何か。それは先(ま)ず公立初中等学校の教員がその待遇、雇用の安定性、勤務の定型性などあらゆる面で大変恵まれた魅力的な職場で、当事者自身もそう認識しているという事実であり、次に文部科学省を頂点に教育委員会、大学の教員養成学部や日教組を包摂したいわゆる公的初中等教育界が、それを自らの利権として閉鎖的、ギルド的世界を築き上げているという現状である。

 従ってこの事件は大分県の特定の個人の犯罪としてではなく、日本の公立初中等学校を広く蝕(むしば)んでいる病根の表象であると見なければならない。日本の教員の給与水準は欧米に比べても十分恵まれている上に、遠距離の転勤もなく、典型的な日勤勤務であるため夫婦共働きが容易である。つまり家計単位の収入は高く、それは年金生活となった定年後はさらに顕著となる。仲間内の利権として教員採用を囲い込もうとする今回の事件の動機がここから生まれる。

 そしてこのような閉鎖的な利権囲い込みの防壁となっているのが教職課程と教員免許制である。

 そもそも免許制あるいは資格制は司法官や弁護士、あるいは医師のような特殊な知識、技能と経験を要する専門職に対しては必要であるが、初中等学校の教員採用には馴染(なじ)まない。教員に必要なのは教える教科に対する十分な知識と知的情熱であり、それを生徒に伝えようとする熱意であり、健康な身体と明朗な心である。これらはいずれも教職課程の単位とは無関係のものだ。

 いかに文科省が世界に冠たると強弁しようとも日本の公教育は過去60年以上にわたって確実に劣化し続け、子どもたちや父兄の信頼を失ってきた。子どもたちの多くが教員免許は持たないが高度の専門知識と熱意を持った学習塾の先生の指導に惹(ひ)きつけられる一方、学校の教師を侮(あなど)る傾向は教員免許制の害悪を証明している。最近では公立の小中学校を嫌い、私立を志向する父兄が顕著に増え、その余波は幼稚園の受験にまで及ぶ傾向にある。しかし教育界には自己改革の意思は全く見られない。

 むしろ父兄に責任転嫁し、学習塾を攻撃非難し、私立学校までを教育委員会の管理下に収めようとする傍(かたわ)ら、教員の定員増や待遇改善、教職課程の一層の拡充によるギルドの防壁強化に奔走するありさま。それは悪循環以外の何物でもない。ちなみに公教育の頂点にある文科省高級官僚自身が自らの子弟を公立小中学校に入れず、国立大学付属に入れたり、有名私立を受けさせる傾向があるとも耳にするが、その実態はどうなのだろう。

 日本の公的初中等教育を立て直す方法は簡単である。教職課程と教員免許を廃止すればいいのだ。最近の少子化傾向により大学のポストが減少する傍ら、特に理数系の分野などの一流大学の修士、博士課程修了者で高度の知識を持ちつつも初中等学校の教員を志望する者も多い。もちろん教育学部出身者のなかにもすぐれた者が少なくない。これらすべての教員志望者の中から校長自身が適材を選抜するならば、教師の資質を速やかに向上させると同時に今回のような不祥事の禍根(かこん)を断つことにもなる。英国のパブリックスクールなどではこの方法で成功している。待遇は今のままで十分である。(かさい よしゆき)

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