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【人、瞬間(ひととき)】あの言葉 夜回り先生、水谷修さん(52)(下) (1/2ページ)
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■誰かを幸せにするために
順風満帆の教員生活だった。高校教育の明日を担う、そんな気概もあった。
ある日、同じく高校教師をしていた学生時代の親友と酒を飲んだ。教師になって、ともに10年ほど。定時制高校に勤め、教師をやめようと考えていた友人は、吐き捨てるように言った。
「腐った生徒で、良い教育ができるか。進学校教師のお前には分からないだろうけどな」
暴言に怒りがこみ上げた。
「腐った生徒なんかいるもんか。子供たちはゆがんだ大人社会の犠牲者だ。彼らを生き返らせるのがオレたちの役目だろ」
反論しながら、自問していた。教師として進むべき道に、はたと気づいた。次の日、普通科から定時制への異動を上司に直訴した。「何としてでも定時制に行かせてほしい」
定期異動の調整は既に済んでいた。上司は驚き、あきれたような表情で聞いた。
「有能なキミが、どうして定時制なんて行きたがるの」
またもや、腹が立った。
翌春には定時制への異動が叶った。そして「夜回り」を始めた。学校や家庭に居場所を失い、自暴自棄になっている子供たちの力になりたい。その一心で、夜の街に足を運ぶ。さまざまな声に耳を傾ける。「一対一の信頼関係を築くために、『夜回り』は欠かせない」という。もう20年近くになる。4年前に退職してからも、日課のように続けている。

