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【赤ちゃんポスト1年】(下)胎児への愛情育てるには? (1/2ページ)
■必要な人に届かぬ情報
「あたしの友達も、こんなふうに来るかもよ」
昨年「赤ちゃんが生まれそう」と119番した10代の女性は、救急搬送された病院のスタッフに、友人の飛び込み出産を予告した。
関東地方のある産科病院では、今年になって、すでに4件の飛び込み出産があった。いずれも妊婦健診は受けていない。うち1件は家出中の10代後半の女性が知人宅で出産したというケースで、その知人が救急車を呼んだ。赤ちゃんは未熟児で低体温。放置すれば命が危険な状態だった。赤ちゃんの父親は不明。病院は女性の母親に連絡を取ろうとしたが、「もう勘当した子だから、関係ない」と電話を切られ、女性は自治体の福祉事務所を通じて支援施設に入った。いずれは乳児院にいる赤ちゃんを引き取るという。
一度も医療機関を受診せず、飛び込み出産に至るケースは、以前からあった。大きく分けて、(1)10代など若い妊婦(2)30代の経産婦で、経済的事情がある(3)不法滞在などの外国人−の3種類だ。総じて赤ちゃんに対する関心が薄く、出産直後に赤ちゃんを置き去りにして姿を消す母親や、「なぜ、健診にこなかったの」という質問に「何も考えていなかった」と答えた大学生もいたという。
厚生労働省虐待防止室によると、平成18年に虐待により死亡した乳幼児52例(母親以外からの虐待を含む)のうち、母親が母子健康手帳を受けていないケースは9人、望まない妊娠が10人、妊婦健診を受けていない人が9人いた。そのいずれかに当てはまるケースは計16人で、全体の4分の1を超える。
望まない妊娠の場合、その2割が否定的な気持ちのまま妊娠を継続し、出産にいたるとされる。杏林大の橋口和生医師(産科)は「漫然と妊娠を継続した場合、お腹の赤ちゃんに愛情を抱くきっかけを得にくい。一般的にも、出産した女性の約10%が産後鬱(うつ)病になるという報告がある。妊娠中から、母親の子への愛情と精神状態をケアする体制が必要です」と話す。
同大学の総合周産期母子医療センターの高崎由佳理師長(助産師)は「受診して相談してくれれば病院は全力で支えます。それは、どの助産師も同じ気持ち。ただ、大学病院は、相談する場所として認知されていない。問題を抱えた妊婦さんに、こちらの存在を知らせるのが、なかなか難しい」と唇をかんだ。
おなかのなかに芽生えた小さな命。生まれたばかりの保護を必要とする命を守れるのは、母親だけなのだろうか。模索が始まっている。(村島有紀)

