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【赤ちゃんポスト1年】(下)胎児への愛情育てるには? (1/2ページ)

2008.4.26 08:01
このニュースのトピックスメンタルヘルス
病院内に提示された出産費助成制度や電話相談のポスター。しかし妊婦健診などのために病院を訪れなければ情報は届かない=東京都三鷹市、杏林大学付属病院の総合周産期母子医療センター病院内に提示された出産費助成制度や電話相談のポスター。しかし妊婦健診などのために病院を訪れなければ情報は届かない=東京都三鷹市、杏林大学付属病院の総合周産期母子医療センター

 ■必要な人に届かぬ情報

 「あたしの友達も、こんなふうに来るかもよ」

 昨年「赤ちゃんが生まれそう」と119番した10代の女性は、救急搬送された病院のスタッフに、友人の飛び込み出産を予告した。

 関東地方のある産科病院では、今年になって、すでに4件の飛び込み出産があった。いずれも妊婦健診は受けていない。うち1件は家出中の10代後半の女性が知人宅で出産したというケースで、その知人が救急車を呼んだ。赤ちゃんは未熟児で低体温。放置すれば命が危険な状態だった。赤ちゃんの父親は不明。病院は女性の母親に連絡を取ろうとしたが、「もう勘当した子だから、関係ない」と電話を切られ、女性は自治体の福祉事務所を通じて支援施設に入った。いずれは乳児院にいる赤ちゃんを引き取るという。

 一度も医療機関を受診せず、飛び込み出産に至るケースは、以前からあった。大きく分けて、(1)10代など若い妊婦(2)30代の経産婦で、経済的事情がある(3)不法滞在などの外国人−の3種類だ。総じて赤ちゃんに対する関心が薄く、出産直後に赤ちゃんを置き去りにして姿を消す母親や、「なぜ、健診にこなかったの」という質問に「何も考えていなかった」と答えた大学生もいたという。

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 昨年1月から今年3月までに起きた乳児遺棄などの事件は、報道されただけでも30件を超える。

 厚生労働省虐待防止室によると、平成18年に虐待により死亡した乳幼児52例(母親以外からの虐待を含む)のうち、母親が母子健康手帳を受けていないケースは9人、望まない妊娠が10人、妊婦健診を受けていない人が9人いた。そのいずれかに当てはまるケースは計16人で、全体の4分の1を超える。

 望まない妊娠の場合、その2割が否定的な気持ちのまま妊娠を継続し、出産にいたるとされる。杏林大の橋口和生医師(産科)は「漫然と妊娠を継続した場合、お腹の赤ちゃんに愛情を抱くきっかけを得にくい。一般的にも、出産した女性の約10%が産後鬱(うつ)病になるという報告がある。妊娠中から、母親の子への愛情と精神状態をケアする体制が必要です」と話す。

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 杏林大は乳幼児や老人への虐待を未然に防ぐため病院内に虐待防止委員会を設置。昨年10月に「妊産婦こころのケア」という勉強会を開催した。妊産婦の心に注目する産科医療は、まだまだ少ないが、おなかのなかの赤ちゃんの様子をモニターで見せることで、母親は、胎児を1人の独立した人間として認識し、愛情を注ぎ始めるのだという。

 同大学の総合周産期母子医療センターの高崎由佳理師長(助産師)は「受診して相談してくれれば病院は全力で支えます。それは、どの助産師も同じ気持ち。ただ、大学病院は、相談する場所として認知されていない。問題を抱えた妊婦さんに、こちらの存在を知らせるのが、なかなか難しい」と唇をかんだ。

 おなかのなかに芽生えた小さな命。生まれたばかりの保護を必要とする命を守れるのは、母親だけなのだろうか。模索が始まっている。(村島有紀)

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病院内に提示された出産費助成制度や電話相談のポスター。しかし妊婦健診などのために病院を訪れなければ情報は届かない=東京都三鷹市、杏林大学付属病院の総合周産期母子医療センター

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