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【Re:社会部】子ども動物園の還暦
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上野動物園(東京都台東区)の一角に、先日開園60周年を迎えた「子ども動物園」という施設があります。子供たちが、放し飼いにされたヤギなどの家畜と直に触れ合うことのできる場所です。
平成生まれの子供たちは、家畜の真横で目を丸くしています。「今はテレビでしか牛を見たことがない子もいます。その子たちに、身近な家畜の大きさや、においといった動物の『尺度』を知ってもらいたい」。同園の高藤彰係長はそう言います。
家畜のにおいが漂う園内。取材の最中、不意に自分の幼いころを思いだしました。祖父に連れられて、向かう先は近所の酪農場。放牧された牛が目当てです。思い返せば、私が牛のにおいを知ったのはこうした経験からでした。
しかし酪農業の相次ぐ廃業で、農村からも家畜の姿が消えつつあると言います。私の思い出の中の酪農場も、今は柵(さく)だけが残ります。
時代の流れに歯止めをかけるのは、容易なことではありません。だからこそ同園は、動物の「尺度」を私に教えた祖父のような役割を担ってきました。いつか大人になる子供たちに、「家畜の姿を知識ではなく、体で感じてもらいたい」(高藤係長)と。そんな“おじいちゃん”動物園に、「還暦おめでとう」と言ってあげたい。
田舎に暮らす祖父の顔を思い浮かべながら。(玉)