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【産経抄】4月17日

2008.4.17 02:23
このニュースのトピックス学校教育

 楽天イーグルス監督の野村克也さんの目に、みるみる涙があふれてきた。NHKの「人生の歩き方」というインタビュー番組で、話が母親のふみさんに及んだときだ。京都府に生まれた野村さんは、3歳のときに父親を亡くし、病弱なふみさんと兄との3人暮らしだった。

 ▼家計を助けるために、小学生のころから新聞配達をしていた。仕事を終えて学校に行くと、校門の前で待ちかまえていたいじめっ子たちが、「そんなボロ服を着て恥ずかしくないのか」とはやし立てる。悔しくて、そのまま家に帰って大声で泣いたこともあった。

 ▼昔はよかった、とは言うまい。社会の格差は大きく、いじめもはびこっていた。ただ、親も教師も、今より立派だった。高校時代の恩師は、プロ野球の入団テストを受ける野村さんのために、巻紙に毛筆で推薦状を書き、旅費を工面してくれた。

 ▼南海ホークスのテスト生となってからは、月給から合宿費を引かれた残り4000円から、1000円を仕送りしていた。ふみさんがそれをすべて貯金していたことを、後で知る。息子がクビになって戻ってきたときに備えていたのだ。

 ▼千葉県内の県立高校が、入学金の未納を理由に、新入生2人を入学式に出席させなかった。生徒の心情を思うと胸が痛む。ただ学費未納に現場の教師が悩んでいると聞くと、学校側の杓子(しゃくし)定規の対応を、非難する気にもなれない。

 ▼南海の中心選手時代の野村さんに次期監督の話が持ち上がったとき、ふみさんは大反対した。「人様の迷惑になるんじゃない」。これが遺言だったという。こんな言葉をたたきこまれていたら、学費を払わないなんて、発想は出てこないはずだ。道徳教育不要を唱える識者の気が知れない。

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