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「日本の美点を回復する国民運動を」正論大賞・佐伯啓思氏が講演(要旨) (1/2ページ)
このニュースのトピックス:正論
戦後、日本がアメリカから輸入した社会科学は、合理的で市場競争至上主義の進歩的な学問であり、特に米国留学が増えた1970年代以降、日本の知識人に急速に広まった。それは日本社会は非合理的で遅れているという、日本人が占領時に植えつけられた発想によく合うものだった。
私はそういう考え方に最初からなじめず、80年代の終わりにヨーロッパに行った。そこで目にしたのは、産業革命を最初に達成したイギリスなどが、合理主義をはじめとする近代化に対して非常に警戒心を持っていたことだ。ヨーロッパでは、古来からの自然を重視し、伝統に立脚した議論が行われていた。
日本ではバブル経済崩壊後、構造改革がさまざまな分野で叫ばれ、実はよくできている日本型システムを壊すという主張が出てきた。米国の新保守派の強い要請を背景にしたこの改革論は、徹底した進歩主義であるにもかかわらず、これを左翼ではなく、保守派が支持してしまったことに、大きな思想的問題がある。
端的に言えば、ヨーロッパの保守とアメリカの新保守とでは考え方が大きく違う。前者が革命的変革をせず、常に歴史に学びながら「何を残すか」を考えるのに対し、進歩主義と一体の後者の思想は、保守派は本来、反対すべきだ。日米同盟による現実的な利益と思想的な話は分けて考える必要があり、アメリカの価値観を無条件で受け入れることは、日本にとって長期的には利益にならない。