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【正論】教育基本法の理念反映せず 高崎経済大学教授・八木秀次 (1/3ページ)
学習指導要領の改訂案に問題多し
≪文部省唱歌は増えたが≫
文部科学省は先月、学習指導要領の改訂案を発表した。改訂は(1)教育再生会議が提言した「『ゆとり教育』の見直し」(2)教育基本法・学校教育法の改正による新たな「教育の目標」の具体化、という2つの要因によるが、何れも抜本的な改善には至っておらず、後退した個所さえある。
授業時間数の1割増で「ゆとり教育」脱却と見る向きもあるが、「ゆとり教育」の根本理念である「『生きる力』をはぐくむ」は、「主体的に学習に取り組む態度を養う」との文言が加わり、むしろ強化されたとの印象を受ける。
道徳教育も、現行の特設「道徳」を維持しており、教育再生会議の提言した「徳育の教科化」を否定した格好だ。「道徳教育推進教師」の導入など、道徳教育の強化を打ち出した点は評価できるが、抽象的な理念の羅列で、教材の例示がなく、実践段階での実効性は怪しい。
教育基本法が打ち出した「伝統と文化の尊重」は、「伝統と文化を継承し、発展させ」との文言が新たに加わり、音楽で共通教材として現行より多くの文部省唱歌が取り上げられる点は評価できる。国語で古典学習を奨励したことも評価できるが、教材の例示がなく、具体性に欠ける。報道された「桃太郎」「因幡の白兎」などの例示はない。問題は社会科で、加わったのは小学校6年生の歴史の「狩猟・採集」という文言と「代表的な文化遺産を通して学習できるように配慮すること」という部分くらいだ。縄文時代を学んで「伝統と文化を尊重する態度」が育つとは思えない。
≪国家形成での主体性は≫
わが国の伝統と文化を語る上で重要な天皇も、小学校6年生で「歴史に関する学習との関連も図りながら、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること」は現行の通りだが、中学校では社会科公民で「日本国および日本国民統合の象徴としての天皇の地位と天皇の国事に関する行為について理解させる」と記述するにとどまり、改善点はなく、天皇への敬愛の念についての言及もない。

