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【正論】「暗記」だけの頭脳は御免だ 首都大学東京学長・西澤潤一 (1/3ページ)

2008.3.6 03:49
このニュースのトピックスメディア倫理

日本には創造促す教育が不可欠

 ≪少ない努力で目的に≫

 日本人は、目的を与えられると、極めて少ない努力で到達する手法を開発する天才的能力を持っている。しかし逆に計算を覚えさせようと考えて筆算や暗算をやらせておくと、親が使っている電卓を探し出してきてやってしまう。親が使わせないで隠しておくと、友達のところへ電話を掛けて答えを聞いたり計算をしてもらったりして、肝心の頭脳の能力進歩という本来の目的を崩してしまう。

 学問でも、算術程度なら社会へ出ても、簡便法を思いつく能力の方がばか正直より効果的なこともあるが、高度のことになるとやはり簡便法などでは間に合わないから、しっかりとばか正直に能力を養成してゆくことが必須になる。

 電卓などがきっかけになって、子供たちの学習のあり方も、大幅に阻害されることになってしまった。その最大のものは、丸暗記である。私のように記憶力の弱いもののひが目かとも思うが、受験塾では何でも考えることなどせずに単純に暗記しなさいと簡便法を開発して得た結論を明快に指示し、若い人たちは超能力ともいえる暗記力を発揮して膨大な知識を暗記してしまう。

 ところが、何時までに、どこまで暗記するかを予定して暗記を始めても、最初のうちは頭はもう一つの能力を発揮して「なぜだろう」「なぜかしら」と考え出してしまう。

 しばらくして気が付いて、「しまった!予定に遅れた」と考えるのを中止して、再び暗記に戻ることになる。そして次第次第に考える習性がなくなってきて、頭の中にはわけの分からない短文がギッシリ詰まったような状態になってくる。前に暗記したことを間違えて新しく暗記したことが反対でも気がつかないという状態すら起こりうるのだ。

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