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【やばいぞ日本】第4部 忘れてしまったもの 完 番外(下) (2/3ページ)
国民が真に憂慮すべきは、官僚組織の政策立案能力の低下であろう。
現在日本には財政・金融、社会福祉、安全保障など多くの分野で難題が山積している。問題解決には日本の長期的な国益を踏まえたプロの専門家集団による真剣な政策議論が必要である。
しかし、若い官僚たちは毎晩国会答弁作成作業に追われて、じっくり議論する時間がないという。昨今の役人バッシングは容赦ない。だから、官僚は従来以上に冒険を避け、ひたすら安全運転に徹するようになる。国家公務員たちは誇りを失い、ますます萎縮(いしゅく)していく。
政治主導の政策決定には大賛成だが、最近の行き過ぎた役人バッシングだけでは問題は何も解決しない。
現在のように国会議員が政争に明け暮れ、民間にシンクタンクが育たないまま、官僚たたきだけがあと10年も続けば、どうなるか。
日本の官僚組織は確実に崩壊し、責任を持って長期的政策を立案できる組織はなくなるのだ。
真のエリート教育が欠落
筆者が入省した1970年代末、外務省には恐ろしくも尊敬すべき先輩たちがまだゴロゴロいた。
報告書案を上司に提出すれば、一瞥(いちべつ)して「やり直し」とほうり投げられた。毎日のようにしかられ、怒鳴られ、日曜出勤など当たり前だと教えられた。まだ若かったし、先輩たちと「国のために働いている」という自負があったのだろう、そんな仕打ちも苦にならなかった。
状況が変わり始めたのは、中東での在外勤務を終えて帰国した1980年代中ごろからだ。
月曜朝一番でアラブの皇太子が訪日する。やむなく新入省員にも日曜出勤を命じたら、「嫌です、休日は大切ですから」と見事に拒否された。「国のためだから」と何度も説得したが、無駄だった。
現在はもっと徹底しているという。若い部下を厳しくしかれば、すぐ「パワハラ」で訴えられる。仕事に幻滅したのか、入省10年前後の若手がどんどん辞めていく。外務省でも最近10年間で年平均2、3人の若手職員が辞職しているそうだ。再就職先は高給を出す外資系企業が多いと聞いて、暗澹(あんたん)たる気分になった。
なぜ日本の若きエリート官僚は短期的な金もうけに走るのだろうか、と。


