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【やばいぞ日本】第4部 忘れてしまったもの(9)「勉強忍耐」乃木大将に学ぶ (3/4ページ)
ただ一言をしっかりと覚える
「伏(ふ)してぞ止(や)まん−ぼく、宮本警部です−」。今年2月、東京都板橋区の東武東上線ときわ台駅で、電車に飛び込もうとした女性をかばって亡くなった警視庁の宮本邦彦警部=享年53=を主人公にした伝記が来年1月に発刊される。
手がけるのは前述の「寺子屋モデル」。過去だけでなく、現代の偉人伝をも親子向けに紹介する。
「伏してぞ止まん」は、宮本警部が「父親から教えられた言葉」として家訓(かくん)のように大切にし、現在大学生の長男にも伝えていたという。「前のめりに倒れるまで努力すべし」という意味とされ、宮本警部の最期はその“家訓”を象徴するものとなった。
会社を対象にした寺子屋で、山口秀範社長は「わが家の家訓作り」を提案した。3年前のことだ。受講したのは食品商社の丸菱(本社・熊本県益城町)社員。参考にするため紹介した過去の家訓の中に、鎌倉幕府の中枢にいた北条重時のものがあった。
「いかにも人(の)ため世のためよからんとおもひ給ふべし。行く末のためと申也(もうすなり)。(中略)我が身を思ふばかりにあらず」(人のため世のために、よきことをしようと思いなさい。それが、これからのためになるのだ。自分のことばかり考えていてはいけない)
古い時代からの徳目が今の時代でも重みを持つことに、参加者から驚きの声が出たという。
そして1年後、さまざまな創作家訓が生まれた。
「自分の顔を恥じぬこと」
「いつもニッコリ笑うこ と」
「努力せぬ者に、夢を語る 資格なし」
「常に前向きに生きる」
「愚痴は一言まで」
家訓は家族に大切にされてこそ意義がある。持ち帰った家で、父親の立場が試された。
「奥さんや子供に『お父さん、なにこれ』と突き放され、家訓にできなかった社員もいたようだ」と、丸菱の本田雅裕社長(53)。「社員が自分自身と家庭のあり方を見直す貴重な機会になった」と話す。


