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土曜日はOBが先生
■兵庫・尼崎市 勉強サポート制度「公立中の信頼回復を」
兵庫県尼崎市は平成16年から公立小中学校を対象に学力調査を行っているが、調査開始以来、全学年・全教科で全国平均を下回り続けている。影響は深刻で、公立校の教育の質が市外転出の理由になるほど。この対策として市教委は今春から、OBの大学生らが後輩の中学生を指導する「土曜チャレンジスクール」を全市立中学校で始めた。キーワードは「公立校の信頼回復」だ。(康本昭赫)
同市立常陽中学校のスクールは毎土曜日の午前に行われている。参加者は1〜3年の生徒約30人。登録制で約50人が参加し、同校卒業生の大学生や田中誠一校長ら計5人で教えている。
教え方は独特だ。黒板を使うことはない。科目は英語と数学だけ。それも数段階の難易度ごとに分かれた問題集を生徒が選んで取り組む。参考書を持参したり、別の問題集を使ってもいい。つまり、あくまで主体は生徒。大学生らは生徒の勉強のサポート役に徹し、質問がある生徒を教えるスタイルだ。
ほぼ毎回参加している3年の若林百合子さん(15)は「楽しいし、よく分かる。成績があがったと実感する」と話す。同じ学年の小沢萌さん(15)は「一人一人に対応してくれて質問もしやすい。英語、数学だけでなく、理科や社会も教えてほしい」と要望する。
市教委は市内の児童、生徒の学力や生活実態を把握しようと、平成16年から学力・生活実態調査を実施。しかし学力テストの平均点は全国平均を下回り、昨年度は中3英語で7・8点、中1数学で6・6点低く、全教科でも全国平均を下回った。
一方で、授業の理解度は、「よくわかる」「だいたいわかる」との回答が全国平均より各学年で2・4〜23・9ポイント高かった。つまり授業はよく分かっていながら、学力は全国より低いのだ。
この矛盾の理由は何か。同市教委は、約30%の生徒が学校外での勉強時間を「ほとんどしない」「30分まで」と回答していることが原因だと判断した。スクールは、同じ中学校出身の身近な大学生が教えることで、勉強に興味を持ち、家庭で学習する習慣を身につけてもらうことが狙いでもある。
開始から約6カ月。その狙いは当たりつつある。田中校長は「これをきっかけに、勉強に対する姿勢が変わった生徒もいる」と言い、「教師役」で参加している神戸女子大4年の浜田奈津子さん(21)も「5月ごろに比べ、進んで難しい問題にチャレンジする生徒が増えた」と生徒の意識の変化を指摘している。
市が16年に実施した調査によると、中学生以下の子供がいて、市外へ転出した家庭の25%は、市内を転居先に選ばなかった理由として「公立学校教育の質」を挙げた。同市は人口流出、財政難が続いており、公立校への信頼回復は市政にとっても急務の課題だ。
市教委学校教育課は「スクールの成果はまだ分からないが、学習習慣が定着することで、学力を向上させたい」と成果に期待している。