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【主張】沖縄戦記述 訂正理由「示唆」は問題だ
沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定問題で、教科書会社が文部科学省の「示唆」を受け、訂正申請の理由を「学習上の支障」としていた。
訂正申請は、教科用図書検定規則で原則として誤記・誤植や明白な事実の誤りなどに限られる。「学習上の支障」は今回の訂正理由として無理があり、政治的な思惑に押されて訂正申請を受け付けたことを表している。
こうした訂正申請を認め、検定審議会で再審議することは、検定制度をゆがめることになり、文科省の対応は将来に禍根を残しかねない。
集団自決の記述をめぐり、来春から使われる高校日本史教科書では、検定意見がつかなかった教科書会社も含め、6社8冊が「学習上の支障」を理由に訂正申請した。
教科書執筆者らが訂正内容を明らかにした教科書もあり、検定前より軍の命令・強制の記述に踏み込んだものとなっている。
「学習上の支障」を理由とした訂正申請は検定規則で認められているものの、例えば、検定後に視覚障害者への色彩の配慮や難しい専門用語の脚注の追加の必要性が見つかった場合に限って行われてきた。
文科省が訂正理由まで教科書会社に「示唆」し、安易に検定意見を翻すというのでは、検定意見に反発があるたびに訂正申請を許すことにもつながりかねない。
軍民合わせ18万8000人が戦死した沖縄戦では、住民が地上戦に巻き込まれ、渡嘉敷、座間味両島の集団自決を含め多くの悲劇が起きた。検定意見は住民らの証言を否定するものでなく正確な史実の記述を求めたものだ。
集団自決が軍命令だったとするノーベル賞作家、大江健三郎氏の著書をめぐる訴訟では、9日の大阪地裁の口頭弁論で、原告の1人である元座間味島守備隊長が改めて「死んではいけないと言った」「自決命令は出していない」と証言し、軍命令を否定した。
軍命令・強制で集団自決したとする記述への訂正申請について、沖縄戦に詳しい専門家は「県民の名誉を汚すことにもつながる。逆に学習上の支障がでるのではないか」としている。教科書は実証ある正確な記述が命だ。ゆがめることがあってはならない。