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【主張】新型インフル 治療の提供こそ対策の要
新型インフルエンザの流行が全国に拡大している。全国約5千の医療機関からの定点報告は44週(10月26〜11月1日)の段階で警戒レベルの30を超え、33・28となった。1医療機関平均で、1週間に33人強の新規患者が確認されていることを示している。
この定点報告をもとに1週間の新規患者数を推計すると44週は前の週より40万人増え、154万人になるという。7月以降の累計患者数は585万人に達している。秋の流行は最盛期を迎えているというべきだろう。
こうした時期だからこそ、「新型」という言葉に惑わされないようにしたい。過去半年間の流行から得られた知識を生かし、重症化しやすい人を守るという対策の基本を認識して対応すべきだ。
今回の流行には(1)大多数の人は発症後1週間程度で回復している(2)14歳以下の患者が多い(3)基礎疾患を持つ人や妊婦は重症化のリスクが高い(4)流行状況が地域によって大きく異なる−といった特徴がある。全国平均のデータで大きな傾向を把握する一方、実際の対策は地域レベルでの流行の段階に応じた手を打つ必要がある。
重症化のリスクが高い人たちへのワクチン接種も開始されているが、ワクチンはいま打っても当面の流行に間に合うものではない。冬場の再流行に備えた有効手段のひとつといった程度に受け止め、粛々と進めるべきである。
流行が本格化している地域では医療機関に多数の患者が訪れ、大変な状況が続いている。特定の医療機関に患者が集中することは、患者にも医療従事者にも過重な負担を強いる。そうならないよう病院、診療所が連携し、流行の衝撃を吸収していくことが大切だ。
残念なことだが、流行の拡大に伴い、死亡の報告も少数とはいえ増えている。ただし、米国など諸外国に比べると致死率は際だって低い。日本では体調を崩した人が早期に医療機関で診てもらうことが可能だし、それを当然とする社会的な共通理解も存在している。新興感染症の流行といった危機においても、この点は重要だ。
米国ではオバマ政権が最優先課題として取り組んでも実現できない公的医療保険制度が、日本にはすでに存在している。いまある医療資源の中で、いかに安定的な治療の提供が維持できるか。この点こそが対策の基本であることを、忘れないようにしたい。