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【がんと闘う ワクチン療法】(中)免疫療法 人により効果に差 (1/2ページ)
■待たれるメカニズム解明
「がんワクチン」と聞いたときに、まず「丸山ワクチン」を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。丸山ワクチンはがん細胞を直接、殺すのではなく、免疫の働きを強化してがんをたたくという薬。免疫を活性化するという点で、現在、臨床試験や治験が行われているペプチド(タンパク質の断片)などを利用したがんワクチンと考え方は同じといえる。
◆謎解けた丸山ワクチン
日本ではこの丸山ワクチンが有名だが、「免疫を活性化してがんを治療する」という考えを世界で最初に実践したのは米国の外科医、W・B・コーリーだ。1890年代初期、コーリーは、がん切除術後に感染症に罹患(りかん)した患者の方が、罹患していない患者より経過がいいことに気付いた。免疫系に感染症だけでなく、がん細胞を攻撃する能力があると考え、数種類の病原菌の毒性を弱めるなどしたうえで、がん組織やその周囲に接種したところ、がんが小さくなったり、消えたりした患者が出たという。
「コーリーの毒」と呼ばれたこの治療法は、20世紀初めに放射線療法が開発されると、興味を持つ医学関係者がいなくなり、長い間、顧みられることがなかった。
コーリーの毒に対し、丸山ワクチンは、日本医科大学元学長の丸山千里(ちさと)が結核の検査薬であるツベルクリンをヒントに昭和39年、がん治療薬として開発した。中には、がんが小さくなるなど効果の表れた患者もいたが、56年の中央薬事審議会(当時の厚生相の諮問機関)で「有効性が確認できない」との答申が出され、承認が見送られた。
1980年代には米国でも初期のがんワクチンが臨床に導入されたが、期待されたほどの効果がなく、丸山ワクチンの承認見送りと合わせ、「免疫療法は怪しげなもの」との印象が広まった。
この流れが変わったのは90年代に入ってからで、「自然免疫」の働きが解明されたことも影響している。



