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【日本の議論】12年も何してた? A、B、C、D…「死の定義」を駆け込み採決  (1/5ページ)

2009.5.10 18:00
このニュースのトピックス日本の議論
大阪大病院で行われた国内初の心肺同時移植手術=2009年1月17日、大阪府吹田市(同病院心臓血管外科・呼吸器外科提供)大阪大病院で行われた国内初の心肺同時移植手術=2009年1月17日、大阪府吹田市(同病院心臓血管外科・呼吸器外科提供)

 臓器移植法の改正案が今国会中の5月下旬にも採決される可能性が出てきた。脳死を「人の死」と認めた移植法施行から12年。この間、わが国の臓器移植をめぐっては、圧倒的なドナー不足や子供の脳死の問題などが度々指摘されてきたものの、法的には漫然と放置されてきた経緯がある。なぜ今なのか。「生」と「死」の境界線をめぐる議論を紹介する。

「内圧」と「外圧」

 改正論議の背景には「内圧」と「外圧」の2つの要因がある。

 まず、「内圧」。きっかけとなったのは、4月3日の自民党の大島理森国対委員長の発言だった。同党役員連絡会で大島氏は「今国会で結論を出すべきだ」と語った。

 現行法は、「施行後3年の見直し」が規定されていたにもかかわらず、結果的には12年間にわたって本格的な議論はほとんど行われてこなかった。

 大島発言の裏にあると噂されているのが、大島氏と親しく、自らも生体肝移植を受けた経験を持つ河野洋平衆院議長の意向だ。

 自民党総裁も務めた河野議長は、今期限りでの議員引退を表明している。「自分の在任中に、ぜひ採決を」という意向が大島氏に伝えられたのではないかと見る向きは多い。解散、任期切れが間近に迫っている現状では、今の衆院議員らに「次期国会」はない。採決するなら今国会だ。

 野党は民主党の鳩山由紀夫幹事長が4月10日に、「党議拘束を外すなら審議を進めるべき」と採決に前向きな発言。採決に向けた流れが一気にできた。

消えた「外圧」

 改正論議を進める「外圧」は、「移植を取り巻く国際環境の変化」だ。

 昨年5月、国際移植学会は、横行する臓器売買に反対し、自国内で臓器移植を完結させるよう努めてもらう宣言を出した。その流れを受け、WHO(世界保健機関)が今年1月、移植で使う臓器の国内での「自給自足」を促す新指針を承認。5月18日からの総会で正式決定される見通しとなっていた。

 日本は、臓器提供者に比べて、待機者の方が圧倒的に多い。15歳未満の脳死の子供からは臓器提供ができないこともあり、現在の臓器移植法のもとでは「自給自足」はとても無理。死を待つしかないという危機感が、議員たちだけでなく、移植患者団体などを「法改正へ」と突き動かしてきた。

 ところが、国会での議論が熱を帯び始めようとしている5月7日。衝撃的なニュースが入った。WHOが、18日から開始予定の総会で、指針の討議を議題から外し、1年先送りすることを決めたのだ。WHO事務局が、新型インフルエンザ対策に追われていることが理由という。

 「外圧」が消えたことが、国内の議論にどう影響するかは、見極めにもう少し時間が必要となりそうだ。ただ、臓器移植を取り巻く環境に猶予が与えられたとしても、それは1年にすぎないことは、はっきりしている。

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大阪大病院で行われた国内初の心肺同時移植手術=2009年1月17日、大阪府吹田市(同病院心臓血管外科・呼吸器外科提供)
渡米し、心臓移植前に亡くなった男児のお別れ会が開かれ、支援者から寄せられた励ましの手紙、風船や花などを前に男児の遺影の前で手を合わせる参列者=2009年2月、横浜市緑区(滝口亜希撮影)
拡張型心筋症で闘病中の男児が米国で心臓移植手術を受けられるように、支援の募金活動を行うサントリーの有賀剛選手(手前右)=2008年9月5日、秩父宮ラグビー場(佐藤雄彦撮影)

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