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【新型インフル】感染したら…早期治療で重症化防げ
メキシコから拡大している豚由来の新型インフルエンザは、米国のオバマ大統領が「事態は深刻」と訴えるなど各国に感染が広がっている。日本ではまだ、感染は確認されていないが、水際作戦など感染拡大の防止策に加え、治療提供の重要性も認識しておく必要があるだろう。
今回の流行は新型インフルエンザとはいえ、病原体の毒性が非常に強いH5N1型鳥インフルエンザとは異なり、ウイルスは弱毒性と考えられている。実際にメキシコ以外の国の感染報告例も、軽症か、すでに治癒したケースが多い。
ただし、注意しておかなければならないのは、弱毒性であってもインフルエンザは侮れない感染症であるということだ。日本で毎年冬に流行する季節性インフルエンザでも、1シーズンで1000万人前後が感染し、高齢者を中心に死者は数千人に達する。死亡率が0・1%以下であってもそれほど多くの人が亡くなる感染症なのだ。
すでに世界保健機関(WHO)が警告を発し、各国も緊急事態として流行の拡大阻止に取り組んでいるのは、弱毒性でもパンデミック(世界的大流行)のレベルに拡大すれば人的な被害が小さくないことを認識しているからだろう。
この点で空港での検疫など水際作戦で国内にウイルスが入ることを防ぐ対策を第一に掲げるのは妥当な選択だ。水際の阻止の重要性は指摘するまでもない。
だが、それと同時に水際作戦は感染した人の排除ではなく、可能な限り早い段階で治療を提供するためのものであることも忘れてはならない。その結果、感染した人が早期に治療を受けられれば重症化を防ぎ、他の人への感染の機会も遮断できる。
感染症がもたらす危機は社会の力が試される機会でもある。体調がすぐれない人が早期に、かつ積極的に申し出て検査を受け、安心して治療を受けることができる社会的な条件を整えることが感染拡大の防止に重要な意味を持つことを認識しておくべきだろう。(宮田一雄)