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【グローバルインタビュー】HIVの広がりは金融危機を待ってくれない 稲田頼太郎博士 (1/5ページ)

2008.12.13 14:43
このニュースのトピックスグローバルインタビュー
稲田頼太郎博士稲田頼太郎博士

■エイズ治療研究者・稲田頼太郎博士 コロンビア大学附属セントルーカス・ルーズベルト病院リューマチ研究室部長

 エイズ治療の研究者として知られるニューヨークの稲田頼太郎博士は1993年、同僚のマイケル・ラング博士とともにイナダ・ラング・エイズ研究財団(ILFAR)を設立した。日本の医療関係者をニューヨークに招き、米国のエイズ診療を体験してもらう研修プログラムを実施するためだ。研修を受けた医師、看護師、検査技師、薬剤師らの多くがいま、日本国内でエイズの診療や研究に取り組んでいる。

 稲田博士はさらに、研修プログラムで培ったネットワークを国際的なエイズ対策に活用し、ケニアの首都ナイロビ郊外で年2回、日本の医療関係者がボランティアで参加する短期の診療キャンプを開いている。

 エイズの流行が深刻なサハラ以南のアフリカ諸国でいま、薬剤耐性ウイルスの拡大がエイズ対策の大きな課題の一つ。治療薬の普及に伴い、エイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の中に薬の効かないウイルスが広がり始めているのだ。服薬の失敗が原因と考えられている。

 薬剤耐性HIVの流行は途上国だけでなく、いずれ先進国にも打撃を与えることになる。8年間15回にわたる診療キャンプの経験から、そう判断した稲田博士は、来年春から常設のオフィスをナイロビ郊外のスラムに開設、薬剤耐性HIVの出現防止に向けた新たなプログラムに取り組む。その結果は、HIV陽性者が効果的な薬剤の恩恵を受けることにつながる。

 折からの金融危機でプログラム実施のための資金確保は困難を極めているが、ウイルスは世界が金融危機から回復するのを待ってくれるわけではない。

 −−イナダ・ラング・エイズ研究財団がケニアで無料診療を開始したのは2000年でしたね。

 2000年7月に南アフリカのダーバンで第13回国際エイズ会議があり、帰りにケニアに寄りました。日本のエイズ診療体制もかなり整備され、研修プログラムは一定の役割を果たしたので、その蓄積を生かし、アフリカでできることはないかと考えました。

 −−ナイロビ郊外で診療を始めるわけですね。

 毎回2週間程度ですが、かつて研修を受けてもらった日本の先生方と年2回、ナイロビを訪れ、診療を行います。私は医師ではないので、キャンプの運営全般を担当しています。

 −−どんな診療ですか。

 はじめの目的はHIV感染を防ごうという予防プログラムですが、まず村の人たちとの信頼関係がなければ何もできない。無料で一般の診療や健康相談を実施し、そこで「どうだい、エイズの検査はただだけどやってみないか」と話す。当時はまだ、情報も行き渡っていないし、検査にお金がかかるので受けない人がたくさんいた。そういう人たちが、無料なら、とたくさん来ました。そのうちに陽性者が見つかり始める。ところが薬がない。

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稲田頼太郎博士
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