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感染症予防の渡航者ワクチン/旅行者の4人に1人が「必要ない」
海外で黄熱や破傷風などの感染症にかからないよう接種する「渡航者ワクチン」について、流行地域に旅行する日本人の4人に1人が「必要ない」と考え、「効果がある」とする人も半数に満たないことが、厚生労働省の研究班の意識調査で分かった。主任研究者の尾内一信川崎医大教授は「危険性の認識が極めて低く、渡航者や旅行会社への啓発が必要だ」と現状への警鐘を鳴らしている。
調査は昨年4〜8月に旅行会社の協力を得て行い、開発途上国を中心にした感染症発生の報告がある国々へ旅行した約250人から回答を得た。旅行者のワクチンへの意識調査は国内ではあまり例がないという。
ワクチン接種への認識(複数回答)では、24・4%が「必要ない」と回答し、「効果がある」と答えたのは44・9%。ワクチン接種が「安全」と考える人は14・5%にとどまり、実際にワクチンを接種したのは、全体のわずか5%、12人だった。
また、黄熱など11種類の感染症についての認識を尋ねたところ、それぞれ3〜4割の旅行者が「分からない」と回答するなど、知識の乏しさがうかがえた。
海外では開発途上国を中心に、腹痛や発熱などを伴う腸チフス、発症後の致死率がほぼ100%の狂犬病など、国内には存在しなかったり感染危険性が少ない感染症がある。平成18年にはフィリピンからの帰国者が国内では36年ぶりに狂犬病を発症するなど、被害が後を絶たない。
しかし、渡航前にワクチン接種が義務づけられているのは、中央アフリカへ行く場合の黄熱ワクチンなど限定された国にとどまり、それ以外の国に行く場合には、自分の判断でワクチンを接種する必要がある。
尾内教授によると、欧米で行われた同種の調査では、ワクチン接種に「効果はある」と考える人は7〜8割に達するなど、高い関心と知識があるという。
尾内教授は「渡航者の健康管理・相談などの窓口となるトラベルクリニックを国内各地に整備するなど、受診環境を整える必要がある」と指摘している。
■渡航者ワクチン 海外渡航による感染症から身を守るために事前に接種するワクチン。A型肝炎、破傷風、狂犬病ワクチンなどがある。行き先や期間、旅行形態によって必要なワクチンが異なり、国内にないものは、医療機関で個人輸入などをして接種する。最近は渡航者の増加や渡航先の国の多様化により、重要性が増しているとされる。