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【主張】鳥インフルエンザ 防ぎたい養鶏場への感染
秋田県の十和田湖畔と北海道の野付半島やサロマ湖畔で死んだハクチョウから鳥インフルエンザウイルスが検出された。いずれも毒性の強いH5N1タイプのウイルスである。
感染した鳥と濃厚に接触しなければ、人には感染しないとされる。しかし、衰弱したり、死んだりした野鳥にはむやみに素手で触るべきでない。
ハクチョウの死骸(しがい)が見つかった現場周辺の養鶏場では、防鳥ネットで鶏舎にウイルスを運び込む野鳥や小動物の侵入を防ぎ、鶏舎内の消毒も徹底すべきだ。養鶏場のニワトリに感染させないことが重要だからだ。動物園やペットの家禽(かきん)にも注意したい。
H5N1ウイルスにニワトリが感染すると、全身でウイルスが増殖し、内臓から出血して死んでいく。死んだニワトリのとさかや脚も内出血している。その症状からエボラ出血熱にたとえて「鳥エボラ」と形容するウイルス学者もいるほどである。
養鶏場で感染があった場合、感染の拡大を防ぐにはニワトリを大量に殺処分しなければならず、養鶏業者は経済的打撃を被る。
それに養鶏場にウイルスが蔓延(まんえん)すると、人が大量のウイルスと接触して感染する可能性がある。東南アジアや中国などでは人が感染死している。何よりも怖いのは、ニワトリの間で感染を繰り返してウイルスが人から人に次々と感染する新型インフルエンザウイルスに変異する危険性である。
養鶏場で感染が見つかったときは速やかに都道府県に届け出るべきだ。4年前には、京都の養鶏場で届け出が遅れて被害を拡大させ、家畜伝染病予防法違反の罪に問われたうえ、経営者夫婦が自殺に追い込まれた。2年前にも、茨城県警が養鶏場を経営する獣医師らを感染を知りながら届けなかった疑いで逮捕した。
アジアではすでに鳥の間にH5N1ウイルス感染が広がり、韓国ではニワトリへの感染が全国的に拡大している。
日本でもこれまでに山口、大分、宮崎、岡山などの養鶏場がH5N1ウイルスの被害に遭った。熊本では昨年3月、野生のクマタカから確認された。今回、渡り鳥のカモが日本に持ち込み、シベリアなどの北方に戻る途中にハクチョウに感染させた疑いがある。渡り鳥を介しての日本国内への侵入を警戒したい。