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【連載企画「闘う臨床医」】(2)医療は裁けるか (1/2ページ)

2008.5.4 02:31
このニュースのトピックス医療問題

 ひどくむくんだ顔、左頬には鬱血(うっけつ)の跡があり、瞳孔反射もみられない…。手術室に入ってから8時間後、ようやく対面できたまな娘は変わり果てた姿となり、ストレッチャーの上でぐったり横たわっていた。

 平成13年3月。東京女子医大病院(東京都新宿区)で心臓手術を受けた群馬県高崎市の平柳明香さん=当時(12)=が、手術中に脳障害に陥り死亡した。

 「簡単な手術だから中学に入る前に治しておこうね」。明香さんは、生まれたときから心臓の左右の心房をしきる壁に穴が開いている心房中隔欠損症だった。このため同年代の子供より小柄だったが、両親の説得には黙ってうなずき、気丈に振る舞った。それでも手術が近づくと「死ぬことはないよね」と不安を打ち明けることもあった。

 東京女子医大病院は心臓外科手術の権威として知られる。「最高の病院だと信じ、主治医からも命を落とす危険性はないと聞いていたから…」。歯科医の父、利明さん(57)は今も手術を悔やむ。

 死亡の原因は手術中に起きた人工心肺装置のトラブルだったとされる。だが意識不明になって3日後に亡くなるまで、執刀医から詳しい経緯の説明は一切なかった。

 「何かを隠しているのではないか」。そんな疑念が、利明さん夫妻を動かした。夫妻の働き掛けで病院側も内部調査に乗り出し、その後、手術中のミスとカルテの改竄(かいざん)が発覚した。手術から1年後には医師2人が逮捕され、厚生労働省は病院についても診療報酬上で優遇措置を受けられる「特定機能病院」の承認を初めて取り消した。

 「娘の死の責任はだれにあるのか。ただ真相が知りたかった」。利明さんはこれまでの日々をそう振り返る。だが医療事故をめぐる紛争は後を絶たず、医師の立場としては複雑な気持ちになることもある。

 「このままでは、だれも医療を信じなくなる」

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