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【連載企画「闘う臨床医」】(2)「医療事故調」創設準備進む
医療行為に伴う死亡事故の原因を究明する第3者委員会の在り方について、厚生労働省は、「医療事故調」と呼ばれる調査機関の創設を急いでいる。
医療事故への捜査当局の介入や医事訴訟を減らし、事故の教訓を再発防止に生かすのが狙いで、2年後の発足を目指している。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会の「医療版」と位置づけられ、医師や弁護士、患者の立場を代表する市民らで構成する調査チームが、遺体の解剖やカルテの分析、関係者の聞き取り調査などで原因を究明する仕組みだ。
現在は医療機関で診療中に予期せぬ死亡事故が起きた場合、医師法21条に基づき「異状死」として24時間以内に警察に届けなければならないとされている。だが、「医療の素人」である捜査機関が関与することに医師らの批判も多かった。
一方、被害者となった患者の遺族が原因を知りたくても、多くの場合は訴訟などに持ち込むしかなく、結果が出るまでには多大な時間と費用に苦しむ。医療従事者の側も警察の捜査や訴訟リスクに萎縮(いしゅく)し、悪循環を招いている。
こうした現状を踏まえ、厚労省が今年4月にまとめた「医療安全調査委員会(仮称)」の設置に関する第3次試案では、医療ミスの疑いがあった場合、医療機関が同委に届ければ警察への通報は不要とし、事件性が疑われるケースでは同委が警察に通報することなどが盛り込まれた。
通報対象は、(1)故意や重大な過失が認められる場合(2)過失による医療事故を繰り返す「リピーター医師」による行為(3)カルテなどの改竄(かいざん)や隠蔽(いんぺい)が認められる場合−のいずれかとした。
また同委がまとめた調査報告書は、遺族と医療機関の双方に開示され、警察の捜査や民事訴訟、裁判外紛争処理(ADR)などの資料としても活用できる。最終的に医療行為に問題があると判断されれば、医療機関や医師は行政処分の対象にもなる。
厚労省は、同委が調査対象とする医療事故の件数は年間約2000件と推計している。
しかし全国的に不足している解剖医の現状をみれば、徹底した調査が行えるか疑問が投げかけられている。構成メンバーは医療従事者が中心となるだけに身内に甘い判断を下すことへの懸念もあり、さらなる議論が求められている。