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【ゆうゆうLife】向き合って 芥川賞作家、医師 南木佳士さん(上) (3/4ページ)
このニュースのトピックス:メンタルヘルス
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翌春、国内留学していた同僚が戻ってきて「典型的なパニック障害じゃないか」と。パニック障害という言葉が広まり始めたころで、そんな病気があるのも知らなかった。ただ、こういう症状が起こりうるんだと分かり、安心しました。
鬱病の人は「希死念慮」にとらわれる人が多いのですが、私もたびたび死を意識するようになりました。1人になると、焦燥感に駆られ、あの木の枝で首をくくれば楽になれるんじゃないかなんて考えてしまう。
妻は私を1人にしないよう、随分気を使ったみたいです。外出の際は、夫が間違いを起こさないよう、家中の刃物を持ち出し、授業参観で留守にする日は、義母が車で1時間半のところから来て、私を見張ってました。そんな状態が3、4年続きました。
あのころ、私が一番苦しんだのは、一家が崩壊してしまうという思いでした。このままではいずれ医者を続けられなくなる。物も書けない。妻と2人の息子がいるのに収入がなくなる、と考えるのが一番つらかった。でも、逆に息子たちがいるから勝手には死ねない、というのが最後の一線としてありました。この子たちが思春期を迎えるころ、親が自分で逝ってしまったら、とんでもない影響を残すだろうな、と。その一線で踏みとどまれたというか。結局、こうした状況が平成8年ごろまで続きました。

