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【正論】学術会議の「代理出産」見解 京都大学名誉教授・加藤尚武 (2/3ページ)
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「分娩者が母」を問う
しかし、子どもの実母が誰になるかということは早く決めなければならない。
日本で「分娩者が母となる」という民法解釈を確定した最高裁の判決が出たのが、昭和37年である。代理懐胎という新しい技術が登場すると「分娩者が母となる」というルールが、以前の内容とは違う意味になってしまう。
代理懐胎以前であれば、子どもの卵子を提供した人が法律上の実母になれないということはあり得なかったのに、向井亜紀さんは今のところ実母になれない。
以前には、他人の卵子を使って自分の子どもを生むことは不可能だったのに、「分娩者が母となる」というルールをそのまま継続すれば、他人の卵子の子どもを生んだ人はその子の実母となる。こういう新しい事態が発生しているのだから、「分娩者が母となる」という民法解釈を一度国会の審議にかけて、継続するかどうかを決めなくてはならないと私は思う。
しかし、「分娩者が母となる」というルールを変更する必要がないと主張している学術会議の委員は、民法にそのような変化はすでに織り込み済みだから、そのまま継続すればいいのだという解釈を打ち出している。
これは法律の解釈で決めるべき問題ではなく、再審議が必要か、必要でないかを決めるのも、国会の役目である。
「禁止」の決定下さず
向井さんのように、自分の夫の精子と自分の卵子、他人のおなかで赤ちゃんを得たばあい、「向井さん夫妻の受精卵を確かに代理懐胎者に着床させました」という医師の証明書があれば、その子どもを向井さん夫妻の実子とするという内容に法律を変えれば問題は解決する。普通の出産をしたばあいは、従来通り「分娩者が母となる」というルールを適用する。

