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【往復エッセー】脳あるヒト心ある人 「嫌い」が行動力の源に? (1/2ページ)
このニュースのトピックス:宗教
■作家・角田光代さんから解剖学者・養老孟司さんへ
そういえば、私は海外に住む友だちがいない。仕事以外の旅行では、見たことのないところを見たいという理由で、1度いった場所はめったに再訪しないので、よくいく店や常宿もない。養老先生の虫に該当するものもないし、本当によすがのない旅である。
しかも私は飛行機が大嫌いだ。高いところがあんまり好きではないのと、あんなに重いものが飛ぶことが信じられないからこわいのだろう。といって、車だって自転車だって、なぜ走るのかわかってはいないのだけれども。
飛行機の離着陸はこわすぎて、気づくと爆睡している。恐怖心が眠気をかき集めてくれるのだろう。飛行機が乱気流を通過するときにはほとんどパニックだ。ジェットコースターに乗っているごとく、肘(ひじ)掛けにしがみつき、かたく目を閉じている。揺れのせいではなくて気分がひたすら悪くなり、紙のような顔色になる。
それでも恐怖心と、見たことのないところを見たいという気持ちを秤(はかり)にかけて、後者に幾分傾くので、決死の覚悟で出かけている。幾度乗っても嫌いなのだから、慣れの問題ではないのだろう。
しかし6年ほど前、飛行機を嫌っていることにほとほと嫌気がさした。嫌だ、嫌だと思いながらも年に4回、6回と乗っているのは馬鹿らしい、好きにならなくともいいから、せめて嫌いではないようにしよう。そう思った。