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【正論】本当に患者のための運用を 精神科医、国際医療福祉大学教授・和田秀樹 (2/3ページ)

2008.2.22 02:58
このニュースのトピックス医療問題

 ≪立件数増加につながる?≫

 実は、さまざまな医療ミス事件の報道があったことを契機に平成12年に厚生省が、このような診療関連死を警察に届け出るように指導を行った。

 それによって医療者から警察への届け出が急増したのだが、それに伴って刑事立件が急増した。平成17年についてみると、届け出177件に対して、91件が刑事立件されている。

 事故調ができるとさらに届け出が増え、立件が増えることを恐れる医療関係者は少なくない。福島県の大野病院で、難しい前置胎盤のお産がうまくいかず、妊婦が死亡した事件で医師が逮捕されたのをきっかけに、中小病院の産科医がその後の不安から一斉に引き上げ、お産ができない病院が急増した。

 このため、最近は検察も送検されたケースを起訴しないことが増えているのだが、事故調にお墨付きが与えられた場合は、起訴ケースは増えるだろう。

 医療訴訟の多いとされるアメリカでも、民事訴訟は盛んに行われていても、傷害や死亡が故意のものでなければ刑事処分は、原則的にない。

 刑事罰は、萎縮(いしゅく)医療を誘発するだけで、民事できちんと賠償したほうが患者さんの側のメリットも大きいはずだ。

 ≪現場を萎縮させない法は≫

 また、この事故調案が出てから、臨床研究まで萎縮することになった。東大医科研の上昌広准教授の報告では、2007年から日本における副作用や合併症の症例報告が激減している。自分がかかわったことを告白してやぶへびになりたくないという医師の心理が働いているのだろう。原因究明のために作るというが逆効果なのである。

 もう一つの大きな問題はマンパワーの問題だ。

 医療ミスの鑑定は、やはり有能な医師の存在なしには成り立たない。診療関連死を全例ということであれば、相当な数で、しかも専従者が必要だ。

 そうでなくても医師不足が問題になっている地方で、このようなことが可能なのだろうか?

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