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【主張】新型インフル テロ対策に劣らない課題
鳥インフルエンザウイルスが新型インフルエンザウイルスに変異すると、世界で最大7400万人が感染死し、日本国内で17万人から64万人が命を落とすという。
本当にこんな事態が起こるのか。そう考える人もいるだろうが、世界保健機関(WHO)や厚生労働省の公的予測であることを忘れてはならない。
人類は誰一人として新型に対する免疫力(抵抗力)を持たない。だから新型の感染力が強く、ひとたび感染すると、生命が危険にさらされる。
実際、スペインかぜ(1918年)、アジアかぜ(57年)、香港かぜ(68年)と過去に3回、新型が発生し、甚大な被害を受けている。
今冬はインドやバングラデシュ、パキスタンでもH5N1と呼ばれる毒性の強い鳥インフルエンザウイルスの感染が鶏の間で広がっている。感染した鶏の処分が進まないインドネシアでは人への感染が増加し続け、すでに死者は世界最多の100人を超えた。
こうした事態に感染症の専門家は「H5N1ウイルスが人から人へと次々に感染する能力を持つ新型に、いつ変異してもおかしくない」と指摘する。専門家のこの警告に素直に耳を傾けるべきだ。最悪の事態に備えるのが危機管理である。
厚労省は1年前に対策の指針をまとめた。新型の発生直後、鳥インフルエンザのウイルスから作ったプレパンデミック(大流行前)ワクチンを接種する。これに抗ウイルス薬のタミフルの投与も加え、半年ほど時間を稼ぎ、その間に本格的ワクチンの量産体制を築き上げる。これが対策の柱のひとつである。
ただ、ワクチンやタミフルを投与される人の優先順位やそれらの備蓄量に問題はないのか。優先順位はなるべく早く国民の前に具体的に示し、納得してもらう必要がある。パニックを引き起こしてはならないからだ。
先月29日、新型対策の与党プロジェクトチームの初会合が開かれた。これまで決めた政府や自治体の行動計画を点検し、自衛隊の出動など新たな対策を6月をめどにまとめる。当然だ。
米国はテロや大災害と並ぶ脅威として国の安全保障のレベルで取り組んでいる。日本も見習うべきである。