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ぜんそく患者救済へ新たな仕組み 公害訴訟原告ら

2007.12.29 17:02
このニュースのトピックス汚染、公害

 大阪市と兵庫県尼崎市、神奈川県川崎市で自動車の排ガスなどによる大気汚染訴訟を起こした原告らが来年、国に公害病認定されずに医療費負担を強いられているぜんそく患者救済に向けた、新たな仕組みづくりに相次いで乗り出すことが分かった。未認定患者の健康診断調査や、医療費助成制度の創設を地元自治体に要請。助成費用の拠出を国や主要な自動車メーカーなどに求める。東京大気汚染訴訟の和解(8月)で東京都が検討している案がモデルで、今後三重県四日市市など全国に広がる可能性がある。

 国道43号沿線の住民らによる大阪・西淀川公害訴訟や尼崎公害訴訟、首都圏の神奈川・川崎公害訴訟の原告ら。いずれも平成10−12年に国などと和解が成立している。

 大気汚染が原因のぜんそく患者の医療費は、公害健康被害補償法に基づいて国が公害病に認定した患者を対象に全額補助。しかし昭和63年の同法改正で、患者の新規認定が打ち切られたため、以後はぜんそくになっても、国からの助成を受けられない。原告の中には法改正後に加わった未認定患者も多く、医療費に毎月5−10万円程度の負担を強いられている。

 今回原告らがモデルとするのが、未認定患者が原告の約4割を占める東京大気汚染訴訟の和解。都が未認定患者の医療費助成制度をつくることなどを条件に成立し、国が60億円、責任の一部を問われた自動車メーカー側が33億円を拠出する制度で、都内に1年以上住む都民を対象とし、年度内に創設される見込み。

 原告らは、未認定患者の実態やぜんそくの遠因が自動車の排ガスだと推定できるデータがあれば、同様の制度を創設できると判断した。

 尼崎公害訴訟の原告団が1月中に尼崎市に交通量調査や健康診断の実施を求めるほか、「川崎公害患者と家族の会」も国とメーカーに医療費負担を求める署名を集め、川崎市の2月議会に提出する方針。大阪市内の公害患者らでつくる「大阪公害患者の会連合会」は20年末までに検討会を設置。独自の健康調査の実施も検討していく。

 環境省環境保健部保健業務室は「東京だけに制度創設を認めるのは偏りがある」とし、要望があれば検討する方針だ。

 寺西俊一・一橋大学教授(環境経済学)の話「公健法改正は工場排ガスを念頭に置いて行われており、当時の国には、大気汚染の主流が自動車排ガスに移ったという認識が欠けていた。自動車排ガスによる大気汚染は全国各地で起きており、患者らがいま、被害の救済を求めるのは正当な要求だろう。汚染者負担の原則から言えば、メーカー側の費用負担も当然だし、医療費助成を全国的な制度にするべきだ」

 ■公害健康被害補償法 昭和49年施行。大阪市や兵庫県尼崎市、川崎市など全国41の指定地域に一定期間住んだり、勤務先があり、気管支ぜんそくなどになった場合、公害病患者に認定される。認定患者は医療費などが支給される。しかし大気汚染状況の改善を理由に昭和63年に法改正され、指定地域はすべて解除され、患者の新規認定も打ち切られた。ピーク時には約11万人いた認定患者は、平成19年10月現在で約4万6000人に減少している。

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