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【中川晶の生き方セラピー】ガラクタをためこむ兄
兄が5年前からフリーマーケットの買い物にはまり、ガラクタにしか見えないものを次々と買い込んで家中に置くので、ごみ屋敷のようになっています。本人はそれを元に古物商をするのだと言い、退職金もつぎ込んでいます。家族が止めても言うことを聞かず、ほとほと困っています。どうすればいいでしょうか。大阪市、主婦(53)
ごみ屋敷と聞いて、「ディオゲネス症候群」を思うのは医者のサガかなあ。この病気は老年期隠遁(いんとん)症候群と翻訳されています。隠遁生活をして身の回りを全く構わず、ガラクタを集め、その山の中に住んでいる人を言います。
でも、お兄さんの場合は家族とつながりは持っているようだし、フリーマーケットにも行っているのだから他人との接触が困難というには当たらないでしょう。またガラクタといっても古物商をするための商品らしいではないですか。傍(はた)からみるとガラクタでも、マニアにとっては貴重なお宝の山みたいです。
したがってお兄さんの場合、病気には当たらないかなあ。ただ重症の収集癖は強迫性障害と関係があるという研究もあります。でもね、これらは豆知識として、あなたの頭に留めておくだけでいいと思います。
反論があるかもしれないけど、ぼくにはお兄さんの行動は筋が通っているように思えるんです。だってね、一生懸命働いてきて、退職した途端何もやることがなくなって、鬱(うつ)になったり、無為な生活をする人も多い中で、お兄さんは自分の好きな古物商になるという目的を持っているんでしょ。
そりゃ、退職金をつぎ込んで失敗したら、と心配されるあなたの気持ちもよく分かるけど、退職金はお兄さんが稼いだものだし、基本的にその使い道については、奥さん以外は口出しする権利はありません。
また、お兄さんの場合、反対すると逆に意固地になる可能性もあります。ここはあなたが、お兄さんの手伝いをするというのはいかがでしょう? ただし最初のうちは一切口出しなしですよ。そのうちお兄さんもあなたにいろんなことを相談するようになるでしょう。今は反対しないで、一緒に楽しんじゃうのが問題解決の早道ですよ。
(大阪産業大学教授 なかがわ中之島クリニック院長)