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【中川晶の生き方セラピー】がんの不安を乗り越えるには

2007.10.13 08:31
このニュースのトピックス学校教育

 私は今、大腸がんで苦しんでいます。人工肛門もつけています。毎日が不安で不安で、夜中の3時ごろに目が覚め、将来のことを考えたりして悩むこともあります。このような苦しみを他のがん患者の方はどのように乗り越えていらっしゃるのでしょうか。一人で考えていても心細いばかりなので、ぜひ教えてほしいのです。 大阪府 主婦(66)

                   ◇

 がんという病気の一番の怖さは、手術をしても、いつか再発するのではという恐怖が持続することです。皆それぞれに自分のがんと闘ったり、なだめたり、時には悲観的に、時には楽観的になりながら過ごされます。感情というものは刻々と変化するもので、今、だめだと思っても、また元に戻ります。

 そんな中で、あるがん患者さんの言葉がとても印象的で、今も鮮明に思い出されます。ぼくが新米の内科医として勤務していた当時のことですが、そこはがん患者さんの多い病棟でした。ぼくはすっかり、患者さんのがん恐怖に圧倒されて、患者さんの目を見て話すことができなくなっていました。

 その日もおどおどしながら、病室の扉を開きました。患者さんは70歳を少し超えた年配の女性で、胃がんで手術をしたけど調子が悪く、再入院されていました。幸い再発ではありませんでした。

 その人がこう言いました。ひょっとしたらぼくを元気づけようとしたのかもしれませんけど…。

 「先生ったら、また悲しそうな顔して。だめよ。そんな顔みたら患者の方がめいっちゃうんだから。そうね、再発は確かに怖いわよ。怖くないなんて言ったらうそになる。でもね、私は毎朝目が覚めるたびに、寿命が延びたと思うことにしているのよ。手術の1年後より、2年後の方が生存率が高くなるんでしょ。2年より3年。5年経過したら一安心。もちろん、完全に治ったなんて思わないけど、人間いつか死ぬものね」

 確かに、一日一日生きていること自体、寿命が延びているわけです。5年経過すれば、がんの影響は随分薄れます。5年は目安だけど、一日一日それに近づいていると考えれば楽になるという、患者さんの知恵に驚きながら、ぼくは少し笑顔でその日病室を出ることができました。(大阪産業大学教授、なかがわ中之島クリニック院長)

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