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すごいぞ日本・ココロやさし(5)アンドロイド (1/2ページ)
研究室のいすにどっかりと腰を下ろし、にらみを利かす。そのこわもての教官が、ロボットだということにすぐ気付く人は、まずいない。国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)客員室長を務める石黒浩・大阪大大学院教授(44)が開発した自分そっくりのアンドロイドだ。
MRI(磁気共鳴画像装置)で頭骨を撮影し、顔面を型取りして自分のコピーを作った。柔らかいシリコンでみけんのしわや素肌の質感を忠実に再現し、頭髪の生え際には自分の髪の毛を植えた。眼鏡や服も自分と同じものだ。体は自然な感じで、わずかながら常に動いている。まばたきもするし、本人の癖をまねて貧乏ゆすりまでする。ちょっと不気味だ。
石黒さん自身が「鏡を見ているようだ」という。
この「分身」を石黒さんは「双子(ジェミン)のような」という意味の「ジェミノイド」と名付けた。
ヒューマノイド(人間型ロボット)と違って、外見まで人に似せたアンドロイドを作ったのは「人間らしさ、人間の存在感とは何かを探るため」という。
離れた場所で石黒さんが話をする。声と唇の動きがインターネットで送られ、ジェミノイドは約0・5秒後、同じように“発声”する。学生はロボットだと分かっていても、そこに「教授の威光」を感じ取る。
ジェミノイドの顔をつねる。今度は、モニターカメラで見ていた石黒さんがとても不愉快になる。
自分がつねられたと脳が錯覚するのだ。
「この実験で、人間の存在感は遠隔地に移動できることが分かった。ジェミノイドを海外に運び、私が日本にいながら講演することも可能。いわば瞬間移動装置ですよ」
小さいころから画家になりたかった。大学に入っても授業そっちのけで油絵に没頭。だが、食っていけるほどの才能はないと悟り、“保険”で勉強していたコンピューターの道へ進み、ロボット研究と出合った。

