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【邂逅 カルチャー時評】中条省平 よみがえった頭脳警察
1970年前後のロック最盛期を知る人は「頭脳警察」を忘れられないでしょう。不気味なグループ名と政治的アジテーションのせいで、普通のロックファンが近寄れないような禍々(まがまが)しいオーラを放っていました。
ファースト・アルバムが過激な歌詞のせいで発売中止になったことも私たち少年には眩(まばゆ)い栄光に見え、有名な〈銃をとれ!〉を含むセカンド・アルバムは友人たちの間を随分行き来していました。一番印象的だったのはサード・アルバムに入った〈ふざけるんじゃねえよ〉で、この単純で荒っぽい曲こそ、当時の空気を最もよく濃縮した歌だったような気がします。
その後、東映の巨匠・中島貞夫監督が、全く場違いな芸術の香り高いATG映画で、『鉄砲玉の美学』というトンデモなく凶暴な映画を撮ったとき、冒頭に〈ふざけるんじゃねえよ〉が鳴り響き、快哉(かいさい)を叫んだものです。
しかし、とうとう私は生の頭脳警察を知りませんでした。赤軍派に公然と加担する彼らのステージは怖いという評判で、そうこうしているうちに頭脳警察は解散してしまったからです。
あれから40年近く経(た)った今、当時を知らない若い世代に属する瀬々敬久監督が記録映画『頭脳警察』を製作しました。3部作で、総計5時間14分に及ぶ大作ですが、まったくダレ場などなく、この真摯(しんし)な映像と証言を見て、かつての頭脳警察のオーラを追体験することができました。このグループの主体であるPANTAの人間性と個人史も浮き彫りにされており、2008年に再結成された頭脳警察の、現役のライヴバンドとしての凄(すご)みも十分に伝わってきます。音楽ドキュメンタリーの秀作です。(学習院大学教授)
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