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【音楽】井上陽水コンサート 古さ感じさせないモダンサウンド
井上陽水が盛り上がっている。出身地に近い北九州市の小倉を皮切りに4月から始まった全国ツアーは約3カ月で5万人を動員。公演会場だけで限定販売してきた弾き語りベスト集のCD「弾き語りパッション」は売り切れ続出。今月16日に急遽(きゅうきょ)、レコード店などでの発売に切り替えた。
6月28日、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールの公演を見た。1970年代からのヒーローはいまだカリスマ的な存在感を放ち、約2100人で満員のホールを圧倒した。
ステージは、テレビCMに使われた「Make−up Shadow」でスタート。激しいパーカッションで彩られた予想外のバージョン。その後も、中森明菜がヒットさせた「飾りじゃないのよ涙は」をシャレたジャズ風に聞かせてみたり、かと思えばハードロックのようなノリのヘビーなブルース曲「嘘つきダイヤモンド」が登場したりと、多種多様なスタイルに変貌(へんぼう)を遂げたおなじみの楽曲を披露した。
どの楽曲も、今回のツアーのテーマである「アコースティック モダンサウンド」にのっとったもので、全く古さを感じさせない。
艶(つや)やかでよく伸びる歌声も70年代の全盛期を彷彿(ほうふつ)させる。ヤワなミュージシャンが増えるなか、黒のサングラスにフォークギターという60年代のボブ・ディラン風の風貌が新鮮だ。
とはいえ陽水も来年でデビュー40周年。そろそろ自身の活動の総括に入りつつある。「今まで何も思わなかったのに、最近ジーンとする曲があるんです」と民謡の「黒田節」を、また「子供のころはよく分からなかったのに、今聞くと良さが分かってきたんです」と春日八郎の「お富さん」を歌って聴衆を沸かせる。
アンコールで登場した「夢の中へ」で観客は総立ちになり手拍子。「少年時代」ではソングライターとしても卓越した才能を見せつけた。
「世界のどんな偉い芸術家や宗教家も、時間は止められない…」。中盤、唐突に言い放ったこのせりふに、偽らざる心境を垣間見た気がした。(岡田敏一)

