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【音楽水先案内】チェロの力強さと美しさ

2008.4.20 13:01
このニュースのトピックスクラシック

 ご存じのようにチェロにはエンドピン(脚棒)がついていて、それを床にあてて楽器を支える。ところが19世紀中ごろまでエンドピンがなかった。それまでチェロは両脚のあいだにはさんだり、台の上におかれたりして弾かれていた。

 現在でも古楽曲ではエンドピンのないチェロが使われることがある。つい先日バッハの受難曲の演奏を聴きに行ったところ、2人だけのチェロ奏者がともに女性で、またのあいだにはさんで弾いていた。不安定だし、女性だし、力が入りにくくてさぞや弾きにくかろうと思った。

 気になるといえば、チェロ・グループは指揮者の右手手前に位置するのがふつう。だからそのあたりの床はエンドピンに突き刺されて穴だらけになっているのではないかということだ。実際、突き刺し具合や床の材質しだいでひびきにちがいが出てくるとも言われている。

 チェロはバイオリンやビオラに比べて大きいし力も必要、音も低く太く、男性的な楽器と思われている。だが高い音は意外に美しいメロディーで聴かせる。「管弦楽法」を書いたベルリオーズは、チェロはオーケストラのなかでもっとも表情に富み、官能的だと言っている。たとえばマスネの管弦楽曲「アルザスの風景」の「ぼだい樹の下」を聴いてみてほしい。チェロ独奏の夢見るようなうっとりした表情はこの楽器ならではのものだ。(ドイツ文学者・音楽評論家 喜多尾道冬)

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