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【ステージ随想 客席から】大阪フィル東京公演
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■主張と調和、理想的な音色
大植英次と大阪フィルハーモニー交響楽団の、久しぶりの東京公演を聴く(17日、東京・赤坂のサントリーホール)。
この日の演奏は、これまで聴いた彼らの演奏とはかなり違っていた。その最大のものは、音色である。特にラベルの「道化師の朝の歌」とベルリオーズの「幻想交響曲」では、明るく輝かしく、それも滑らかに彫琢(ちょうたく)された音というよりは、粒立ちの強い、すべての楽器があいまいに妥協せずに自らの存在を主張しつつ調和していくというオーケストラの理想的な音色を実現できる演奏になっていた。
しかも、音の響きには豊かなふくらみが感じられ、それが空間的な壮大さを生み出している。「道化師の朝の歌」の最初の部分での、最弱奏から最強奏への突然の変化にも、決してわざとらしい怒号はなく、きわめて自然な解放感のようなものがあふれていたし、全体に遅いテンポで構築された「幻想交響曲」でも同様であった。
指揮者とオーケストラの呼吸が完全に合うまでには長い時間がかかるものだが、大植と大阪フィルも、やっとそのような段階に近づいてきたのかもしれない。
この2曲の間で、小曽根真が協演したガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」が会場を沸かせた。この人のピアノの音色もまた、きらきらと輝くように美しい。例のごとく自由な即興のソロが随所に含まれ、作曲者もそういう演奏を期待していたであろうと思わせるほどの説得力と、楽しさとにあふれていた。(音楽評論家 東条碩夫)