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【音楽】鈴木慶一 ソロ2作目“航海”続く
ロックバンド「ムーンライダーズ」の鈴木慶一が、ソロアルバム「ヘイト船長とラヴ航海士」を20日にリリースする。代表作「火の玉ボーイ」から30年余り。キャリアは長いが意外にもソロ作は今回2作目で、深みのあるベテランの声に多様な電子音を溶け合わせ、「夢やまぼろしや無常観の漂う」異色のポップスを生み出した。
ムーンライダーズなどの充実した活動で日本語ロックの道を切り開いてきた鈴木。「バンドの音楽を作ることに達成感があったというか、ひとつ完結していた部分があった」という。ソロ作品が少ないのはそのためだ。
転機は平成16年秋にプライベートスタジオを設けたこと。「音楽をつくる環境が整って創作量が非常に増えた。いっぱい曲ができたのでソロを作るいい機会かなあと」。一昨年のライブでゲスト出演してもらったミュージシャンの曽我部恵一をプロデューサーに迎え、共同作業で新譜作りに乗り出した。
全体的には鈴木の渋い中低音のボーカルが印象的。それを彩るのは電子音を駆使して作り上げたリズムやサウンドだ。ときに幻想的で、ときに洗練された都会的な音色で。若い世代にも受け入れられそうな作風が耳になじむ。その完成度の高さに「『火の玉ボーイ』を超えることができた」と満足感をにじませる。
自作のポエムを朗読する曲も収めた。アルバム制作中に医師役で出演していた舞台「欲望という名の電車」が影響したかも、という。「私の出番は最後の3分。それまでは楽屋に流れてくる素晴らしいせりふを聴きながら歌詞を書いたりしていました。ぜいたくな空間だよね」と笑う。
ゲーム音楽で好評を得たり、北野武監督の映画「座頭市」の音楽で話題を呼んだり幅広いチャレンジを続ける56歳は今後、どんな“航海”に出るのか。「荒波は好きじゃない。湾内でぷかぷか浮かんでいる小舟の中がいいですね。でも、その小舟から革新を起こしたい」(安田幸弘)

