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【MOSTLY CLASSIC】茂木健一郎が「すべては音楽から生まれる」刊行 (1/2ページ)
■音楽と人生は不可分な関係
ジャンルを超えて活躍する脳科学者の茂木健一郎が、クラシック音楽について初めて書き下ろした「すべては音楽から生まれる」(PHP研究所)を刊行した。音楽への深い造詣(ぞうけい)と体験を自らの研究分野の脳科学などと結びつけ、音楽と人生のかかわりを明快な語り口でつづっている。(平末広)
「生きることと音楽は密接にかかわっていると思う。始まりがあって、終わりがあって、もう二度と戻れない流れがある」と音楽と人生の不可分な結びつきを語る。
子供のころ、ベートーベンのピアノ・ソナタを聴き、その魅力の虜(とりこ)になり、高校生のときには学校でオペラ上演にかかわり、また積極的に演奏会にも足を運んだ。それとともにビートルズやジャズ、歌謡曲など多くの音楽に親しんできた。
「音楽の体験を積み重ねることこそが生きることの充実につながる。音の世界だけではなく、われわれの体全体に躍動感をもたらす」と脳科学から音楽の効用を語る。
「短調と長調なんて、聴くとすぐわかる。でも脳の働きでなぜそうなるかはわからない」のだそう。脳科学では、音楽が及ぼす人間への影響は、ほとんど解明されていない神秘的な部分が残り、それが、音楽を深いものにしている要因だとも説明する。
本書では、毎年ゴールデンウイークに東京で開かれ、100万人を動員する「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭を主宰するルネ・マルタンとの対談も収められている。
「音楽は選ばれた人のものではない。それを信じて、聴いていくということが必要。マルタンは、それをあの音楽祭で見せてくれた。しかも、薄めたり加工しない本物の音楽で」と音楽祭のあり方を評価する。
そして、日本のクラシック界の現状については、「日常的に外来オペラが来て、現地で上演に触れる人も多くなり、進化を遂げています。ただ、それを熟成させるには、年月は必要。ヨーロッパには、1000年以上の歴史がある」と話した。
そんななかでの注文は、「名演奏家は、自分の中にモンスターを飼っていると思う。普段は出てこないけれど、いったん演奏に入ると、体の中からモンスターが現れてとてつもないスケールの演奏をする。ホロビッツだって見かけと演奏は大きくちがうし、小澤征爾さんもそう。そんな若い『暴れん坊タイプ』の演奏家が出てきてほしいですね」。

