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【話の肖像画】タクトと鍵盤と人生と(4)ダニエル・バレンボイムさん (2/2ページ)
このニュースのトピックス:舞台
−−それなら、なぜ演奏をしたのですか?
バレンボイム 45年にすべてが終わりました。そして、21世紀までワーグナーを拒否し続けることは、ナチスのしたこと、ワーグナーを悪用したことを認めることにもなります。もちろん、大量虐殺など地獄を経験した人がいるのは事実です。彼らはワーグナーは聴きたくないし、聴く必要もありません。しかし、そういう考えのない人の聴く権利もあります。
−−そうですね
バレンボイム 実際、私がベルリン国立歌劇場とエルサレム訪問が決まったとき、最初はワーグナーを依頼されました。そこに政府側から変更の圧力がかかったそうです。でも、われわれはすでに現地に到着していたので、私は聴衆にいま話したことを45分かけ、ヘブライ語で説明しました。お聴きになりたい人のためワーグナーを演奏しますが、お聴きになりたくない人には退場できるように先にお伝えしますと。会場は約3000人、席を立たれたのは約50人でした。しかし、翌日、政府側は公演を“文化的強姦(ごうかん)”と非難したのです。それが、イスラエルにおけるワーグナーの件の全貌(ぜんぼう)です。(福本剛)

