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「二胡」への思い音色に チェン・ミン
日本で演奏活動を開始してから10周年を迎えた。「もう10年? まだ10年? どちらでしょうか。自分の中では『もう10年か』という感じですね」と笑顔を見せる。
その記念として、初めてのベストアルバム「Wings」(EMIミュージック・ジャパン)を出した。
「ここ数年、ずっとベスト盤を出したいと思っていたのですが、新しいものを出したいという思いの方が強く、気持ちの整理がつかなかった。ここにきて、過去を振り返るいいタイミングに恵まれました」
これまで6枚リリースしたアルバムの中から、思い入れの強い曲、リクエストが多い作品を選んだ。「燕になりたい」「風林火山〜異郷情〜」など、CMやテレビ番組、ドラマなどで流れた曲も多く、「あ、この曲は…」と思い当たる人も多いはず。「『Wings』というタイトルのように、このアルバムが私の新しい翼になって、より多くの方々のところに羽ばたいていってほしい」という。
子供のころから、音楽教育家の父親に二胡の手ほどきを受けた。来日前は上海越劇院オーケストラの二胡奏者として活躍していた。それが、「このままでいいのか」と漠然とした不安と物足りなさを感じるようになり、心機一転を図ろうと単身、日本にやってきた。
日本語は、あいさつ程度しかできなかったが、アルバイトをしながら大学に通い、寝食を惜しんで日本の勉強に打ち込んだ。やがて2年が経過。気が付くと、すっかり音楽から遠ざかっていた。
ある日、眠っていた二胡を手にして愕然(がくぜん)とした。指が思うように動かず、演奏がまったくできなくなっていた。
「もうプロとはいえないのか…」
そう思うと猛烈に二胡がいとおしくなり、「楽器との関係を取り戻そう」と猛練習。国際電話をつないだまま演奏して、父親のアドバイスを受けたこともあった。
「二胡があるのが当たり前の環境だったので、離れてみて初めてその大切さに気づいた。原点に戻り、再スタートをきることができたのは、あの2年があったからこそ」
思い立ったらすぐに実行するアクティブな性格だ。伝統的な古曲ばかりではなく、二胡の新しい魅力を探ろうと、ジャズとのセッションをしたり、ミュージシャンの石井竜也や渡辺美里のアルバムに参加したりと、試行錯誤を続けてきた。
「うれしい出会い、意外な展開もあり、自分がやりたい音楽が見えるようになった。この数年は父の言葉『得之弦外』を大切にしています。音楽の世界を高めるには音楽以外のものを多く得ることが必要という意味。心の持ち方次第で音色まで変わることを実感する日々です」
最近、体を鍛え始めた。「ジムでトレーニングをして、太極拳やヨガも。それと…お酒をやめたんです。すごいでしょ!? ワインを飲めばチーズを食べたくなるし、焼酎を飲めばニボシをかじりたくなるから、思い切ってやめました。すごく調子がいいんです」。
心身ともにリフレッシュしてのぞむ10年目。「次はもっとこうしたい」と見えてきたビジョンもあるという。新生チェン・ミンから目が離せない。(文 柳谷昇子)
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≪話のおまけに≫
■愛犬はサンタ
最近、ハマっているものを聞くと、「たくさんありすぎて…。どうしましょう」。
では、これだけはないと困るものは?
「新鮮なフルーツとサンタ」
サンタ?
ということで紹介してくれたのが、目に入れても痛くないほどかわいい存在というペットのサンタ。トイプードルのオス。3歳。「クリスマスにわが家にやってきた」のでサンタと命名した。ボール遊びが大好きらしい。
「サンタとの散歩は欠かせない日課です」
散歩コースではサンタを通じた友達もたくさんできたという。趣味のカメラを持ち歩き、散歩の合間もパチリ。サンタの写真は増える一方だ。
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【プロフィル】陳敏
ちぇん・みん 1968年、中国・蘇州生まれ。音楽教育家の父と越劇女優の母のもと、上海で育つ。上海戯曲学校、上海戯劇学院を卒業後、上海越劇院オーケストラのメーン二胡奏者として活躍。一方で、女優業やテレビのリポーター、司会なども。91年に来日。共立女子大を卒業後の97年から日本での演奏活動を開始し、これまで東芝EMIから6枚のアルバムほかDVDをリリース。愛称はミンミン。

