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【わたしの失敗】ミュージシャン・喜多郎さん(2)
■反発心から校則違反
喜多郎の音楽への「目覚め」は高校時代。一触即発の緊張感を醸し出すイエスや、実験的なピンク・フロイドの音作りなどプログレッシブ・ロックに強烈に引かれたという。
同時にロック的な反発心からか、たびたび校則違反もした。
「反骨まではいかないんだけど、けっこう反発していましたね。上から押しつけられるのは意外と嫌いで」
たばこをポケットに隠し、バイクの無免許運転で補導され、先生に追っかけられながらディスコで演奏活動。家に帰らずディスコに泊まりこむ夜も多かった。「校長室で正座させられたり、先生とけんかしたりは日常茶飯事」。
坊主(ぼうず)頭が義務付けられていたが、髪も伸ばし始めた。風紀担当の先生にとがめられても切らなかった。高校卒業後も、内定をもらった老舗楽器メーカーに入社せず、「仕事は自分の好きなことをやらせてほしい」と親に言い返し、演奏活動を続けることを決めた。
「人生の座標軸はそのころから絶対ズレていたと思います」
だからこそ今がある、とも思う。青春時代からの自分を曲げない姿勢は独自の音楽作りにも生かされ、「シルクロード」のテーマ音楽や、米国のグラミー賞の受賞にもつながった。
「人はパーフェクトじゃないから、自分なりの生き方ができればそれはその人にとっていいんじゃないかな。ゴーイング・マイ・ウェイですよ」。こんな考えも、ズレた座標軸から見えてきた。
ちなみに喜多郎の名は、長髪に由来する。
「ゲゲゲの鬼太郎」の登場人物に似ていると思われたのだろう、高校時代、いつの間にか「キタロウ」のあだ名で呼ばれるようになった。「鬼」の太郎というのが気になり、「喜」と「多」の文字をあてた。
「喜多郎」誕生とロングヘアは密接にかかわっている。今も長髪にこだわるのは、そのためだ。
しかし、そのこだわりが、後にシンガポールで一騒動を生み出すことになろうとは…。
(安田幸弘)