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【断 中条省平】スパイを言いかえても…
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世の中、インテリジェンスばやりです。インテリジェンスといっても、知性のほうではありません。情報、謀略、要するにスパイです。
「日本のCIA」といわれる内閣情報調査室も、英語名をこっそり「リサーチ」から「インテリジェンス」に変えていたのです! いつ改名したのか不明だが、遅くとも1990年代前半までにはそうなっていたといいます(黒井文太郎『日本の情報機関』)。これじゃあ、内閣情報諜報(ちょうほう)局です。まるでスパイのような姑息(こそく)なやり方です、って、スパイでした。
スパイといえば、上海総領事館員が中国のホステスに引っかかって国家情報を売ることを強要され、自殺した事件が記憶に新しいです。こんなふうに人はスパイになるのかと思っていたら、ベストセラーになった佐藤優・高永●の『国家情報戦略』によると、CIAや韓国は公募を基本にしているというのです。
しかし、同書によれば、インテリジェンスは「人で始まり人で終わる」とのことですから、そこに濃密な人間関係を見るのは当然、あるいは見たいと思うのが人情でしょう。
その人情に応えてくれる傑作映画が公開されます。あのロバート・デ・ニーロが監督した『グッド・シェパード』です。この映画ではスパイは公募どころか世襲です。しかも、名高いエリート秘密結社「スカル&ボーンズ」を重要なバックボーンとしているのです。
物語はなぜケネディ政権下でのピッグス湾侵攻作戦が失敗したかを軸に展開しますが、そうしたミステリー的な興味とは別に、いくらインテリジェンスなどと言いかえても、結局、諜報の世界は、人で始まり人で終わる生臭い世界なのだな、とため息をついた次第です。(学習院大学教授・中条省平)
●=詰のごんべんが吉