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【産経抄】9月27日
このニュースのトピックス:梅田望夫
明治の落語家、三遊亭円朝といえば、いまだに二代目を継ぐものがないほどの名人のなかの名人だ。その功績は、落語の地位を高め、「芝浜」「文七元結」など今でも盛んに演じられるネタの名作を残したことにとどまらない。
▼二葉亭四迷が円朝の口演筆記を参考にして、日本で最初の口語体の小説『浮雲』を書くなど、その話芸は、夏目漱石ら文豪の文体にも大きな影響を与えたといわれている。明治の言文一致運動の先駆者でもあった。
▼小紙とマイクロソフトが、10月1日からサービスを始める「MSN産経ニュース」は、「ウェブ・ファースト」が売り物だ。スクープ記事は、他社にかぎつけられないように、新聞の締め切り時間を過ぎてから、ネットに配信する。そんな新聞界の常識を覆すというのだ。
▼記者が発想の大転換を迫られるのは、特ダネの追い方だけではない。インターネット業界の最新事情にくわしい梅田望夫さんによれば、新聞記者には、ネット時代にふさわしい「新しい文体」が、求められるようになる。これまでは限られた字数のなかで、わかりやすく、読者の興味を引きつけるように書くことが、記者の腕の見せ所だった。
▼ところが、そんな記事をネットに転載すると、短すぎて物足りなく感じられるのだという。長さの制約がないネット媒体の特性を生かして、のびのびと、それでいて冗長ではない、新たな新聞記事とはどんなものか。記者の模索は続く。
▼と、すれば、小欄のわずか700字ちょっとの文章なんぞは、言文一致運動によって、しだいに片隅に追いやられた文語体と、同じ運命をたどるのがおちだろう。それでも書き続けていくしかない。阿久悠さんの「時代おくれ」でも口ずさみながら。