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【幻のドラえもん】(下)突然の最終回、セル画は河川敷で燃やされた (2/3ページ)
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灯油をかけてすべてを焼いた。会社の解散で保管場所がなく、業者へ頼むと十数万円かかるためだった。炎の中で、片手を上げたドラえもんが、笑顔ののび太が、ぐにゃりとゆがみ、消えていった。「わが子を荼毘に付す気持ちでした」
その場所は30年後、アゴヒゲアザラシのタマちゃんがやってきた辺りだった。
会社消滅の中、わずか2週間で作った最終話は「さようならドラえもんの巻」。原作漫画で描かれたいくつかの「最終回」の中から、真佐美さんの提案で「自転車」の話が選ばれた。ドラえもんが未来へ帰らねばならなくなったため、のび太が猛練習をして自転車に乗れるようになる話だった。真佐美さんが幼いころ、板金塗装会社に勤めていた父親を浦和駅まで迎えに行きたくて、自転車を練習した思い出と重なったからだという。
最終回のエンディングには、ドラえもんの丸い手から黄色い小鳥が飛び立っていくシーンを加えた。黄色に「再会」の意味を込めた。予告は「来週をお楽しみに」から「次回をお楽しみに」へ変えた。
「藤子先生にあいさつに行ったら、『ぜひまたやろうよ』と言って握手してくれた。だから、6年後に現在のドラえもんが始まった時は、自分が関わることはなかったけれども文句のつけようのない出来で、このドラえもんならいいと安心しました」
今年30年を迎えるテレビ朝日版ドラえもんは昭和54年4月に始まった。第1話は「ゆめの町ノビタランド」。新番組ならばドラえもんが登場する話から始めるのが一般的だろうが、まるで6年前の続き、「次回」のような始まり方だった。日テレ版を見ていた子供たちが戸惑わないようにとの、制作者の心遣いだったのかもしれない。
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